
サンドラッグは、今期にグループで84店を開設し、期末店舗数を大台の1000店に乗せる。直営店はこれまで駅前型やNSCを先行して開発してきたが、今後は住宅地と郊外の間に食品強化型の単独路面店を増やす。現在は食品PBの開発にも注力しており、単独路面店の食品比率は4割を目安に集客力を高める。店舗数の増加に伴い物流網も再整備し、昨秋は関西と中京地区に食品を扱うセンターを稼働した。赤尾主哉社長に、今期の事業方針と将来構想について聞いた。
以下は赤尾社長との一問一答の要旨である。
——前期(2015年3月期)は上場来初の減収経常減益でした。その要因をお聞かせ下さい。
赤尾社長 97年4月の5%増税時は反動減が7月に回復したが、今回は天候要因も重なり既存店のマイナスが長期化した。特に当社のドラッグストア事業はHBC比率が高く、同業他社よりも反動の影響が大きかった。当社の業態は大きく分けて都市型(駅前型)と郊外型がある。都市型のHBC比率が高いのはもちろん、郊外も相対的に食品比率が低いNSCに先行出店してきた。そのNSC型も近年は開発物件が減少傾向にある。出店による成長を持続するには、食品強化型の単独路面店が必要になる。
過疎地は商圏の広いダイレックスで
——単独路面店のモデルはありますか。
赤尾社長 食品強化型は売場面積350坪〜400坪を目安とし、先頃愛知県の既存店をリビルドした400坪の店が1つのモデルとなる。食品の比率が増えると荒利益率が低下するため、昨年から加工食品のPB開発にも力を入れている。まだ30アイテム位だが、少しずつ充実させていく。前期は食品の売上高がグループ全体で1000億円強となり、売上比率は全体の20%を超えた。ただ、ディスカウントストア事業の食品比率が50%であるのに対し、ドラッグストア事業は10%強で、食品のある既存の単独路面店も平均は20%程度、比率が高い店でも30〜35%である。
食品強化型の単独路面店は、比率を平均4割程度にして集客力を高めていく。出店立地も従来はある程度人口の多い場所だったが、今後は住宅地の外で、より郊外に近い立地を開発していく。
——ディスカウント事業子会社のダイレックスとの棲み分けは?
赤尾社長 取得当時のダイレックスの店舗はやや小型だったが、最近の新店は450坪以上がほとんどだ。ドラッグストアと異なる商材を扱い商圏も広いので、純然たる郊外、過疎地での展開を促進していく。今後の出店は同業態とドラッグストア事業の食品強化型を軸に、西日本、東日本ともにペースを上げる。

フォーマット使い分け占有率高める
—— 都市型は従来の駅前のほか、利便性強化型の「サンドラッグCVS」を展開し、今年2月の「虎ノ門店」(東京都港区)で4店体制となりましたが、状況はいかがですか。
赤尾社長 4店中2店はオフィス街、2店は商店街にあり、それぞれ商品構成が異なるが堅調に推移している。開発の案件次第だが、今期は5店程度を出店したい。
——当初は1号店の「神保町店」(同千代田区)でインストア加工の弁当を提供していましたね。
赤尾社長 SMの居抜き物件で加工スペースがあったので始めたが、複数店への供給能力がないためベンダー商品に切り替えた。1号店から提案してきたオリジナルの「ヘルシー弁当」は、OLなどの女性に受けている。
——もうひとつ、都市型では医薬品や健康食品の比率を高めた新フォーマットを、東京都立川市で実験しています。
赤尾社長 都市型の多くは化粧品が核商材で、男性や高齢者が入りにくく、健康相談等を受けにくい。立川で実験しているフォーマットは化粧品を絞り込み、医薬品や健康食品、さらに高齢者向け商材を充実した。イメージしたのは「昔ながらの薬局」で、ベテランの薬剤師を配置し、対面で相談しやすい環境もつくった。
——「サンドラッグCVS」同様に、多店舗化を志向するのですか。
赤尾社長 都市型は、まず従来の「サンドラッグ」を出店するのが基本であり、「昔ながらの薬局」も「サンドラッグCVS」も、同一商圏における2店目の選択肢だ。さらにここに、より広域から集客できる駅前ディスカウント型ドラッグストアを、「ダイレックス」の店名で出していく。複数のフォーマットを立地で使い分け、市場占有率を高めていく。
日刊ドラッグストア2015年7月21日号より抜粋