小林製薬(小林章浩社長)は今秋、顔の乾燥肌を治療する医薬品「Saiki(さいき)」や、プリン体を排出する機能性食品のサプリメントなど新規性の高い商品を発売し、市場の創造を目指す。

肌トラブル対策OTCを拡充
乾燥肌ケアを訴求する化粧品は多数あるが、Saikiのように顔の乾燥肌を治療する医薬品はこれまでなかった。同社は近年、痛む傷口を治療する皮膚薬だけでなく、傷あと・火傷あとの治療薬「アットノン」や、二の腕のブツブツの治療薬「ニノキュア」といった肌トラブルを解決の皮膚薬を投入し、好調に推移している。
Saikiも肌トラブル対策の医薬品で、ターゲットは顔の乾燥肌に化粧水やクリームで対処して満足を得ていない35~55歳女性・約450万人に設定する。
薬粧事業部の小野山敦マーケティング部長は「乾燥肌対策の化粧品は、皮膚表面の潤いを保つものが多いのに対し、Saikiは肌の奥から改善する。発売後は、皮膚薬やスキンケア売場の定番とエンドでの展開を目指すほか、乾燥が厳しくなる11月と紫外線対策の意識が高まる来年2~3月に販促を強化し、認知度向上を図る」と語る。

機能性表示食品3品を発売予定
サプリメントは、機能性表示食品「プリトロール」を投入するとともに、既存品の「ルテイン」「イチョウ葉」の2品を機能性表示のパッケージに変更する。3品とも届出中で、秋には受理される見通しである。
初のプリン体対策サプリメント「プリトロール」は、尿酸値の上昇の原因となるプリン体を、高分子キトサンが吸着して体外に排出する。1回量3粒で、ビール2ℓ(中ジョッキ4杯分に相当)分のプリン体を排出する。
パッケージは、プリン体を多く含むビールをイメージした。定番のほか、ビール売場やドリンク剤売場で展開できる什器を提供し、同じ飲酒対策で口臭ケアの「ブレスケア」との同時展開も進める。年末年始と3~4月の歓送迎会シーズンに販促を強化する。
サプリメント「イチョウ葉」と「ルテイン」は栄養補助食品だったが、容量や価格を維持しながら機能性表示食品に転換する。「イチョウ葉」(90粒・希望小売価格1566円)は「記憶力などの認知機能を維持する」、「ルテイン」(30粒・同1728円)は「目の健康的な機能を維持する」の表記を予定している。
「プリトロールのようなプリン体対策サプリは、これまでなかったため認知度が低く、最初は苦戦するかもしれない。ただナイシトールやチクナインのように、分かりにくい漢方薬で市場を形成した実績があり、時間をかけて市場をつくりたい。既存品の中からイチョウ葉とルテインを機能性表示の対象に選んだのは、消費者調査で成分と機能の結びつきが弱かったから。機能性の表示により、売上を底上げできると思う」(小林社長)という。
このほか、胃酸の逆流症状対策の医薬品「ギャクリア」や、アロエの搾り汁配合のスキンケア「アロケア」、消臭芳香剤「Sawaday PINKPINK」トイレ用、歯槽膿漏対策のコンパクトヘッド歯ブラシ「生葉 極幅歯ブラシ」、火を使わない「レンジ灸」などを発売し、新商品合計で初年度売上高48億円を目指す。
日刊ドラッグストア2015年8月7日号より抜粋