大木(松井秀夫会長兼社長)は7月15、16日の2日間、TRC東京流通センター(東京都港区)で「秋冬用カテゴリー提案商談会」を実施し、2日間で約1400人を集めた。「新しい売上をつくる!新しいお客様をつくる」をテーマに、「来店客数1日1000人」を狙った基幹業態の在り方や、高年齢化する購買決定者に焦点を当てた提案を強化した。

調剤薬局向け提案を初披露
客数を増やす施策の中で、特に来店頻度の向上を狙い、売場にソファや椅子を設置したコミュニケーションコーナーの設置を提案していた。松井秀正副社長は、「春の商談会で紹介したドラッグストア版サービスカウンターは、やや商売への意識が強くなったが、今回は顧客同士のコミュニケーション環境をつくり、地域包括ケアの拠点として情報発信していくことをイメージした」という。
同コーナーに連動してATMの設置も提案した。「主婦の多くは月曜日にお金をおろし、その足でまずSMに向かう。Drug.Sでお金をおろすことができ、そこに収納代行や宅配機能を付加すれば購買行動は変化する」(松井副社長)とし、利便性対応の考え方の転換を促した。
もう一つの目玉は展示会として初めて、調剤薬局向けの提案をおこなったこと。同社は現状の調剤薬局が、介護を含む医療周辺領域の開拓とOTCを軸にした物販の推進が必要と指摘し、後者の取り組みを支援することで取引ボリュームの拡大を目指す。
「売れ筋に基づき棚割をつくれる薬局は少ないので、販売データをもとに適正な棚割を紹介した。当社の個人薬局事業のシステムを用いて流通を一本化し、安価かつ安定的な商品の導入を促す」(松井秀正副社長)という。
高齢化軸に商品・棚割を変える
松井秀夫会長兼社長は今回の展示会について、以下のようにコメントしている。
「我が国の総人口は10年後に700万人減る。700万人は埼玉県の人口ならびに中国地方の人口に相当し、経済に与えるインパクトは大きい。さらに30年後の総人口は9000万人を切るとされ、経済を支える内需の行方、流通の損益分岐点の行方を心配している。
減少する消費者に新たな消費を見出してもらう努力を通じ、少なくとも10年後も同レベルの流通を維持したい。そのためにも消費者の高齢化や世帯の高齢化に合わせて、商品、棚割、販促を見直す必要がある。これらの課題はDrug.SのみならずSMもHCも等しく抱えている。そこに大木なりの方向性を提案し市場活性化に寄与したい」
日刊ドラッグストア2015年8月5日号より抜粋