アライドコーポレーション(氏家勇祐社長)は、タイを中心としたエスニック料理の拡大に取り組んでいる。近年、夏季の催事としてタイフェアが定着したことに加え、缶詰やレトルトのタイカレーやパクチー(香菜)を使った商品が広がっている。また、スーパーフードとしてココナッツオイルが注目された。SM・GMS、コンビニエンスストアなどで関連商材の品揃えが拡大している。「人口減少が進み、国内の食のマーケットがシュリンクする中、海外の要素を取り込んで新しい需要を創出していく」(氏家社長)としている。

同社は、調味料などタイ食材の輸入販売からスタートした。04年に設立した現地法人を通じ、日本向けの商品開発に力を入れるとともに、北米や欧州、中国、オセアニアなどへ商品を輸出している。14年度の連結売上高は35億円(33%増)で、内訳は国内が20億円、バンコクが15億円だった。国内は市販用が65%で、業務用が35%となる。今期は国内32億円、バンコク22億円の連結売上高54億円(54%増)を計画している。
氏家社長が味わい・仕様・パッケージデザインなどを含め、自ら商品開発に参画する。04年の社長就任後、市販用・業務用とも「タイの台所」のブランド展開を開始した。商品開発の方向性について次のように語っている。
「ブランド展開をスタートしたとき、調理する生活者をターゲットに手軽に本格的なタイ料理を味わえることを目指し、スパイスなどの調味料を小分けしてレシピカードをセットにしたキット商品を開発した。野菜や精肉、鮮魚などの生鮮素材を用意してもらう設計で、高質SMやグローサリーショップなどで採用された。なんとなく流行の味わいや商材を使用し、売れるだろうというレベルで開発したものでは競争に勝ち残れない。だれに何を提案するかを明確化する。そしてタイの現地メーカー(サプライヤー)でOEM生産することでコストコントロールする。スピード感ある開発と値ごろ感の両立を追求すると、この仕組みが適している」
タイ料理が最初に日本で拡大したのは1990年代前半で、タイ料理専門店が徐々に広がった。当時タイ旅行した層が、現在40―50代になっており、SM・GMSでタイフェアが広がり、14年頃から定番での品揃えが拡大してきたという。アライド コーポレーションが参画するタイフェアを開催するチェーンは、13年度が16、14年度が60、今年度は100超を見込んでいる。
キット商品は現在、「タイグリーンカレーセット」やトムヤムクンセット」、「タイ焼きそばセット」など12アイテムをラインアップする。また簡便ニーズに対応し、SM・GMS向けに調合済みの調味料の「5分で出来る!」シリーズを展開している。さらに13年6月、エスニック感を打ち出したグルメ缶詰の「家バル」シリーズを開発した。「アサリのスモーク」と「ムール貝のスモーク」を皮切りに、現在14アイテムをラインアップしている。
また、14年10月に発売した「パクチードレッシング」がヒット商品になった。15年6月に「パクチーチリドレッシング」を投入し、「パクチーソース」の開発も進めている。
「日本からタイへの旅行者は年間130万人で、国別では4番目に多い。これまで、タイの需要を喚起できていなかったが、14年頃からエスニック料理が注目されてきたことに加え、ココナッツオイルがヒット商品になり、食品を扱うあらゆるチャネルで品揃えが拡大している」(氏家社長)
タイのココナッツミルク№1ブランド「CHAOKOH(チャオコー)」のココナッツオイルを取り扱う。原料を輸入し、国内でパッキングする。さらに日本向けに値ごろ感のある「ココナッツオイル入りスプレッド」を開発した。

週刊流通ジャーナル2015年8月3日号より抜粋