ファンケル(宮島和美社長)の中期3ヵ年計画が動き出した。16年3月期第1四半期の売上高は2割増となり、前期の営業赤字が黒字に転換した。4月にスタートした戦略的な広告投資が成果を上げ、インバウンド需要も予想以上に増加した。これを踏まえ広告宣伝の時期を一部見直し、第2四半期の業績予想を上方修正した。なお年間の広告宣伝費は当初計画を据え置き、増収減益を見込む通期予想も変更はない。
「えんきん」CMを大量投下
同社は今期より3ヵ年の中期計画を推進している。広告投資の増加とともに取扱店の拡大と販売力の底上げを図り、長期的な成長の足場固めをおこなう。広告宣伝費と販促費の負担増で初年度は増収減益を見込むが、2年目以降は投資回収期に入り、最終年度の18年3月期に売上高1250億円、営業利益100億円を達成させる。
当第1四半期の広告宣伝費は、前期比41.4%増の34億8400万円で、対売上高比は前期比2.0%増の15.8%だった。内訳は化粧品15億0200万円(9.0%増)、栄養補助食品12億2200万円(20.8%増)、その他7億5900万円(930.2%増)となる。
宣伝媒体はTVキー局のほか、地方紙、ローカルTV、タウン誌など地方の露出を高めた。具体的に6月に発売した機能性表示食品「えんきん」のCMを大量投下したほか、発芽米や青汁のCMも刷新し、店頭プロモーションとあわせて強化している。
直営店売上の2割が訪日外国人
第1四半期連結業績は2ケタ増収で利益も大幅に改善した。売上高は前期比23.8%増の221億1200万円、営利利益は6億3800万円(前期損失5億8400万円)、経常利益は6億8000万円(同損失5億3000万円)、当期利益は4億6800万円(同損失3億0200万円)となった。インバウンド効果は化粧品が中心で、直営店売上の約2割を訪日外国人が占めた。
事業別に、化粧品関連事業は売上高134億9700万円(24.9%増)、営業利益16億9200万円(485.3%増)だった。ファンケル化粧品は「マイルドクレンジングオイル」のプロモーション等が奏功し売上高が109億6600万円(25.9%増)となり、当期に連結した米国子会社の売上高3億6300万円も計上した。販売チャネル別売上高は、店舗販売と卸販売が35%増、海外が4割増だったが、主力の通信販売は12.0%の伸びにとどまった。
栄養補助食品事業は、ダイエットサプリメント「大人のカロリミット」や機能性表示食品「えんきん」が好調に推移し、売上高68億7500万円(27.9%増)、営業利益4800万円(前期損失4億5100万円)となった。販売チャネルは通信販売20.1%増、店舗販売33.4%増、卸売販売37.4%増、海外7.8%増で、コンビニの定番確保やドラッグストアの開拓に努めた卸売販売が伸びた。
その他関連事業は売上高17億3800万円(3.4%増)、営業損失7億2400万円(前期は2000万円の利益)。売上高の内訳は発芽玄米が10.5%増、青汁が0.9%増である。
日刊ドラッグストア2015年8月6日号より抜粋