
アインファーマシーズ(大谷喜一社長)は7月25日、「アインズ&トルペ新宿東口店」(東京都新宿区)を開設した。8月末にグループ化する「AYURA(アユーラ)」の商材を導入したほか、オリジナルの新ブランド2種類も展開する。また自然志向のメニューを提供するアユーラカフェを開設するなど、従来のコスメ&ドラッグショップにない取り組みを導入した。
アインファーマシーズは昨年末から、コスメティック&ドラッグショップ「アインズ&トルペ」の改装を進め、9月12日オープンする新基幹店「アインズ&トルペ 札幌ル・トロワ店」のMDや企画の先行導入を図っている。日用雑貨や一般食品のようなコモディティ商品を排除する一方、化粧品や関連品、オリジナルブランドなど、独自性があり荒利益率の高い商品を拡充して集客を図る。
14年12月にリニューアルオープンした「原宿クエスト店」は、改装効果に加えてインバウンド需要もあり、売上高は前年比50~60%増で推移している。また今年4月にリニューアルした「池袋西武店」は、3フロアで展開していた物販を地階と1階に集約し、2階部分にはネイルサロンと加圧ダイエットのスタジオを導入した。アイテム数は若干減少したが、買い廻り性の向上や関連購入の増加で売上高は40~50%増となっている。
女性3世代をターゲットに
7月25日にオープンした「新宿東口店」は、新コンセプトの「アインズ&トルペ」の新店1号店となる。駅前ロータリーに面する商業ビル「ミラザ新宿」の1、2階、地階の3フロアで展開する。売場面積は390坪を確保したが、大店法の関係で現在は実質的に270坪でスタートし、許可が下り次第拡張する。
周辺は百貨店やファッションビル、有名ブランドの路面店、家電量販店などがあり、平日は若者や中高年の買物客で賑わい、休日は家族連れが増える。原宿クエスト店が20~30代をメインターゲットとしたのに対して、新宿東口店は祖母、母・独身女性、女の子の3世代に、様々な切り口で高質な商品を提供する。
水島利英専務は「以前から、主要ターミナルである新宿への出店を検討していたが、場所が見つからず断念していた。500坪でオープンする札幌ル・トロワ店のMDを圧縮して実現した。アインズ&トルペはこれまで、100~200坪を標準に展開してきたが、より広い300~400坪でも成功できることを証明したい」と語る。

自社ブランドのアイテムを拡充
1階はメイクブランドのほか、新規導入した自社のオリジナルブランドや、「アユーラ」のカウンターを設置した。
アユーラは、8月31日に取得する資生堂子会社のアユーララボラトリーズのブランドで、新宿東口店に先行導入する。身体全体や心のバランスも重視し、東洋美学を取り入れたスキンケアや美容雑貨を揃える。札幌ル・トロワ店にも導入する予定だが、ブランド価値を維持するため、展開は基幹店舗に限定する考えである。
新たな自社ブランド「LIPS and HIPS」は、唇からお尻まで、安全性の高い処方の商品を提供する。ボリュームのある唇に導くリップや、ツヤのある唇にするグロス、自然な血色が長時間持続するリップ&チーク、ハンドクリームなどを揃える。将来は同社の特徴を活かし、薬剤師が処方設計に参加する商品を開発し、品目数も増やす。新宿東口店では、家具や小物、鏡など洋風の部屋をイメージしてコーナー化し、ブランドの高級感を打ち出した。
同じく初登場の自社ブランド「cocodecica(ココデシカ)」は、おしゃれな女性のためのアクセサリーや雑貨を揃える。ブランド名は「ここでしか入手できない」という意味と、本社のある北海道に多く生息するエゾシカを合わせた。
今後、既存店にもオリジナル商品の展開を増やす計画で、今期は全社の売上構成比を前期比約2倍の5.4%とする目標を掲げている。

大型ビジョンで通行人にアピール
地下1階は、医薬品やサプリメント、フットケアやボディケア、ヘアケア、カウンセリング化粧品を展開する。薬剤師が常駐し、OTCは要指導医薬品から第3類まで取り揃える。医薬品売場の横に、免税対応専用レジを5台設けた。
「日本人の来店が前提だが、立地の良さから多数の外国人も訪れると考えた。日本人客が混乱しないよう、需要の多い医薬品のある地階で免税処理をする。のべ約40人のスタッフのうち、7~8人は中国語で対応し、接客にも力を入れる」(水島専務)
なお、1階入口の左の外壁に、24面のモニターからなる高さ2m26㎝×幅10m70㎝の大型ワイドビジョンを設け、様々な情報を発信する。設置したカメラで通行人の動きを捉え、それに合わせて画像を動かすこともできる。
期間限定で、プロのメイクアップアーティストによる12種類のメイクを施した女性のインタラクティブ画像を流している。クールビューティ、大人ガーリー、イノセントな小悪魔メイクなど、気に入ったメイクの画像にタッチすると、入口の機器からワンポイントメイクの無料体験クーポンが発券される。また1階のプロモーションゴンドラで、使用したアイテムをセットにして販売するほか、メイクの要点を記した「フェイスレシピ」も提供していた。
〔店舗概要〕▽住所=東京都新宿区新宿3-36-10ミラザ新宿ビルB1F~2F▽売場面積=1289.2㎡(現在は大店法の関係で892.5㎡)▽営業時間=午前10時~午後11時▽年商目標=36億円▽客単価目標=2500~3000円
日刊ドラッグストア2015年8月17日号より抜粋