
かましん(栃木県宇都宮市、若井禎彦社長)は普段使いのSMを徹底するうえで、インストア加工による生鮮のきめ細かな商品づくりと、品揃えの幅を広げて多様なニーズに対応する。標準モデルは売場面積600坪、取扱品目数1万アイテムで、惣菜とインストアベーカリーを重点カテゴリーと位置づける。年間1店を目安に新設し、全店で地域一番店を目指す。6月18日にオープンした最新の栃木平柳店(栃木市)は標準モデルをベースに、酒類を専門店風に展開するなど新たな売場づくりにチャレンジした。

栃木平柳店は東武日光線・新栃木駅から北西へ700mの幹線道路沿いに位置する。売場面積600坪で、標準モデルの売場づくりを踏襲し、店内加工を徹底する生鮮に加え、惣菜とインストアベーカリーを強化カテゴリーとする。敷地面積は889坪で、駐車台数は平面で150台を確保している。
店舗運営部の金子仁部長は、出店戦略について次のように語っている。
「チェーンストアとして、売上規模ではなく地域一番店の数が競争力の源泉と考えている。売場面積600坪前後を展開でき、立地や駐車台数、商圏などを総合的に勘案し、一番店になることを基準に物件を厳選する。エリアは宇都宮市を中心に下野市や栃木市など県南部のドミナント深耕を重視し、将来的には小山市への進出を視野に入れている。
生鮮・惣菜はインストア加工で、時間帯別の客数に合わせて陳列ボリューム、鮮度感を追求する。人材育成等を含めて年間1店のペースを目安に出店を継続している」
栃木平柳店の近隣にはヨークベニマルやヤオハン、とちぎコープなどがある。東側は東武日光線で分断されており、店舗の北部や西部を中心とした集客で、年商目標16億円の計画通りに進捗しているという。

単品訴求と上質の提案でメリハリ
地域ニーズへの対応をベースに、品群ごとに上質商品を数品ずつ挿し込むMDを基本とする。高頻度商品は、期間限定の「かましんのいち推し」、加盟するAJSのPB「くらし良好」を中心とした「生活応援価」、個店対応で近隣店の売価に合わせた「店長おすすめ」などで価格訴求する。一方、オリジナリティを打ち出す「こだわりの逸品。」やアップグレード商品の「バイヤー太鼓判」をPOPでアピールしている。
「部門ごとに幅広いニーズにきめ細かく対応する商品群と、単品を打ち出すカテゴリーでメリハリをつけて展開する。一例で、ヨーグルトやチーズなどの洋日配は嗜好性が高く、品揃えの幅は広くなる。ただ、あくまで日常の食生活をターゲットとするものであり、基本を外れることはない」(金子部長)
青果は平台での単品の打ち出しとともに、壁面では簡便商材と加工食品のクロスMD、時流を取り入れた商材などをアピールする。カットサラダはドレッシングやディップソースなどと一体化し、カット野菜はメニュー対応型調味料と連動した。スプラウトやトマトなどの機能性野菜や、有機栽培野菜、地場野菜などをコーナー展開する。
鮮魚は刺身のフェイシングを広げるとともに、サバやメバル、イサキなどの近海魚のほか、地元の嗜好に合わせニジマスやアユ、ワカサギなどの淡水魚を品揃えした。また干物や漬け魚でこだわり商品をコーナー展開した。精肉は栃木市の生産者と連携した和牛や佐賀県産「ふもと赤鶏」、岩手県産「北上鶏」等の銘柄肉のほか、各畜種で栃木県産、国産、外国産と価格帯の幅を広げている。

日刊流通ジャーナル2015年8月19日号より抜粋