PALTAC(木村清隆社長)が2018年3月期までの中期計画をスタートした。将来の事業規模を卸流通市場シェアの約3割、1兆円を目標に事業基盤を整備し、社会に必要とされる中間流通業のポジションを確立していく。情報システム、生産性、機能、人材の4つを柱とした施策に取り組み、最終年度に売上高8800億円、販管費比率5.77%、経常利益率2.10%を目指す。
同社領域の卸流通の市場は約3兆2000億円。過去10年間横ばいで、今後も人口減少と単価上昇による横ばい推移が予想される。社会構造の変化と共に市場が成熟化する中、消費者ニーズの二極化と多様化への対応が必須であるとの認識を、中期計画の背景に織り込んでいる。
PALTACは化粧品・日用品、一般用医薬品をフルラインで扱い、これら商品の一括仕入れ・一括販売が可能な卸売業である。同社を通じ、実に年間25億個、国民1人あたり20個が出荷され、それらを高品質かつローコストで届ける全国物流網を有することも、大きな強みとなっている。
中期計画は、将来の事業規模1兆円、卸流通市場の3分の1を担うイメージを描いた。この1兆円を指標に、社会に必要とされる中間流通業を確立すべく、3年間で事業基盤の強化・拡充に取り組む。
RDC関東のノウハウを水平展開
計画実現の柱は、「情報システムの強化」「さらなる生産性向上」「機能強化」「人材の育成」の4つ。情報システムの強化はまず、商品からマテハン機器の管理までこなす基幹システム「SAMS」を3年で刷新し、柔軟性をさらに高めて取引先のニーズに対応する。またABCなど分析機能による「見える化」の推進や、小売業の基幹業務を支援するシステム「PARS」の活用を通じ、流通インフラの担い手としての機能を磨きあげる。
生産性向上は、RDC(大型物流センター)機能の最大化を目標に、発注から配送に至る全作業工程を見直し、営業・物流・システムの連携を強める。さらに、8月に稼働した「RDC関東」(埼玉県白岡市)のノウハウを水平展開し、関東エリアを皮切りに全国の配送効率を底上げする。
RDC関東の投資総額は約115億円で、同社16番目かつ最大規模の施設となる。18年間培ってきたノウハウを集積しており、生産性の面でも国内最高レベルを自負する。今後は既存の群馬、横浜、東京の3RDCとの連携を強化し、さらなる効率向上を図る。
機能強化では、小売・メーカー各々の連携を強化し、双方のコストを利益化できる提案をすすめる。その一環でRDCはメーカー向け物流受託拠点としての活用を促し、サプライチェーンの最適化、効率化を目指す。
経営資源は国内卸売事業の拡充に軸足を置きつつ、輸入商材の拡充と化粧品・日用品・衛生関連など日本商品の海外展開も促進する。その延長線上で、新興国を照準に卸機能の海外展開に向けた調査・研究も継続する。

日刊ドラッグストア2015年8月25日号より抜粋