
セブン&アイグループのシェルガーデン(藤森敏和社長)は8月7日、SCアトレマルヒロ(埼玉県川越市)に川越店をオープンした。今期4店目で、食品フロア中央部で惣菜と日配、グローサリーを展開するとともに、壁面に配置された外部の生鮮テナントのレジ業務を請け負う。このタイプは4月に改装したルミネ立川(東京都立川市)で、利便性向上を目指して採用した。「商業施設の条件に合わせて柔軟なMDで売場を構成し、生鮮専門店との集中レジ機能を付加した新たなモデルと位置づける」(藤森社長)という。

アトレマルヒロは、埼玉県で百貨店9店を展開する丸広百貨店が運営している。東武東上線とJR川越線が乗り入れる川越駅東口に隣接し、1990年5月にオープンした。地下1階から地上7階の8フロアで、地下1階に食品、1~5階に衣料品、6階にHBCを中心とした住関連、7階に飲食店を展開する。駅周辺はJR東日本の子会社が運営するルミネ川越や、東武ストアの川越マインを核としたファイン川越などがある。
これまで食品は、丸広百貨店が直営で青果、塩干、日配、グローサリーを運営し、精肉と鮮魚、惣菜、洋菓子などのテナントを配置していた。400mの距離にある基幹の川越店(埼玉県川越市)と差別化を図るため、アトレマルヒロをSCへ転換することとした。
食品売場の核テナントとしてザ・ガーデン自由が丘が出店した。ザ・ガーデン自由が丘はインストア加工を中心とした惣菜と日配、グローサリーを展開し、青果、鮮魚、塩干、精肉のほか、惣菜、洋菓子、和菓子などのテナントを集積した。テナントはそれぞれのレジで精算するスタイルが一般的な中、川越店はザ・ガーデン自由が丘が青果、鮮魚、塩干、精肉のテナントのレジ業務を請け負い、共通化することでSMゾーンを形成した。改装に際し、シェルガーデンが青果と精肉、塩干の専門店を紹介し、レジの一体化を提案した。
藤森社長は、出店戦略について次のように語った。
「12年2月の社長就任後、ザ・ガーデン自由が丘としての目指すべきMDを再構築し、14年1月に出店を再開した。SCや百貨店などのテナントでグローサリーに特化した売場面積10坪タイプの小型フォーマットから、フリースタンディングで生鮮3品・惣菜、日配、加工食品をフルラインで取り扱う300坪まで、条件にあわせて柔軟にMDを構成して出店している。売場面積300坪以上で年商15億円以上を売り上げなければSMでないということではなく、立地条件やデベロッパーのコンセプトに合わせ、100坪ならば100坪なりの収益を確保できるフォーマットを志向し、柔軟に出店する。
商業施設への出店で、当社はフロア中央部でグローサリーを中心に展開するとともに、周辺に配置された生鮮テナントとレジを集約するモデルを開発した。4月に改装したルミネ立川でチャレンジしたもので、利便性アップがデベロッパーに受け入れられた。川越店に続き、11月にもこのモデルでの出店が決まっている」

カテゴリーを細分化し、品揃えの幅と奥行きを追求
ザ・ガーデン自由が丘は売場面積96坪で、6200アイテムを取り扱う。惣菜はインストア加工の米飯や揚げ物のほか、サラダや和惣菜を充実し、銘店の押し寿司や駅弁などを導入した。和日配は豆腐や油揚げ、こんにゃくなど川越の地元商材をコーナー展開し、漬物の品揃えを広げた。洋日配はナチュラルチーズを充実させた。
グローサリーはカテゴリーを細分化し、それぞれ品揃えの幅と奥行きを追求した。一例でメキシコ・タイ料理はナンプラーやココナッツミルクなどの調味料のほか、レトルト、缶詰などを集積した。またスーパーフードは33アイテムをまとめてコーナー展開した。ココナッツオイルやアマニ油など、認知が拡大している商材のほか、クランベリーやマキベリー、フリーズドライのザクロの実などのパウダーを取り扱う。
「直近はグローサリー主体の出店が多くなっているが、生鮮を取り扱わないということでない。16年には直営で生鮮・惣菜を展開する出店を計画している」(同社長)としている。
<店舗概要>▽所在地=埼玉県川越市脇田町105番地 アトレマルヒロ地下1F▽売場面積=96坪▽営業時間=午前10時~午後8時30分▽駐車台数=223台(共用)▽店長=佐藤公彦

日刊流通ジャーナル2015年9月1日号より