
ドンキホーテ・ホールディングス(大原孝治社長)は、ディープディスカウントモデルの小型店フォーマット「驚安堂」の展開を始めた。7月に既存1店舗を改装したほか、8日には居抜きで店舗面積302坪の福生店(東京都福生市)を開設した。生鮮・惣菜4部門と非食品にテナントを導入し、直営はグローサリー、日配に限定した。シニアをメインターゲットに設定し、高頻度来店・小商圏対応をテーマとした店づくりを追求する。

新会社ライラックが新フォーマットの確立めざす
驚安堂は13年6月に1号店を開設し、福生店を含め現在5店舗を展開している。当初はビッグコンビニをコンセプトとする小型店フォーマットだったが、7月に改装した梅島駅前店(東京都足立区)からドイツのアルディをモデルとするディスカウントフォーマットに変更した。
ディープディスカウントモデルの小型店を展開するにあたり、新会社ライラックを設立した。LIFE(生活)とRACK(食器棚)を合わせた名称で、グループの既存業態とはコンセプトやターゲットの異なるフォーマットを追求する。
ライラックの斉藤秀明社長は、驚安堂の店づくりについて次のように語っている。
「シニアをターゲットとした小商圏フォーマットを目指しており、既存のドン・キホーテ業態とはコンセプトも商圏も異なる。年間365日のうち、ドン・キホーテが65日くらい行くフォーマットであるとすれば、驚安堂は300日来店していただける店にしたい。ドイツのアルディを参考に、品出しや陳列方法、レジ業務など効率的なオペレーションを研究した」
MDは生鮮・惣菜を備えたディスカウントスーパーを基本とする。店舗面積が302坪の福生店には、生鮮・惣菜4部門を専門店に委ねた。梅島駅前店は40坪の限られたスペースに、外部からの仕入れで青果と精肉だけ品揃えする。鮮魚と惣菜は部門そのものをカットした。
「生鮮・惣菜のテナントを入れるかどうかは、店の規模や商圏によって決定する。近隣に有力な専門店がある場合、無理に入れるつもりはない。商圏のお客さまから必要とされるカテゴリーでディスカウントを追求する。各部門のMDは、本職であるテナントの判断に任せている。こちらからはディスカウントのコンセプトだけはお願いしている」(斉藤社長)

直営の領域を絞りローコスト運営
福生店は、JR中央線・福生駅から徒歩10分余りの生活道路沿いに位置する。商圏1km内に8500世帯が居住する。ドラッグストアの退店跡に出店したが、ドラッグ以前はSMであったことから、バックヤードで使用する水道の配管などは残っていた。
出入口は1カ所で、青果と精肉の間に飲料売場をはさむレイアウトになっている。変則的な印象を受ける配置だが、アルディを参考に採用したという。生鮮3部門のMDは、全体的にプライスポイントを下げるわけではない。品揃えの幅を確保し、価値と価格のバランスで割安感を打ち出す。青果では本体価格680円の巨峰やマスカットを目玉商品として訴求し、鮮魚では生本マグロをアピールしていた。
直営の売場面積は200坪で、グローサリー、日配を約2000SKU揃える。棚を低くして店内の見通しをよくし、プライスカード以外は販促物をほとんどつけない。また、非食品の日用雑貨には100円ショップのダイソーをテナントに導入した。徹底したローコスト運営をねらったものである。
斉藤社長は「店内の装飾を極力、抑えることで、売場管理の手間は大幅に削減できる。また、直営のオペレーションをグローサリー、日配とレジに集中させるため、非食品もテナントに任せることにした」という。
直営売場は店長1名、パートスタッフ37名(8時間換算)で運営する。100円ショップの商品も含め、会計はすべて集中レジで行う。決済は現金のみで、クレジット決済やグループの電子マネーにも対応しない。販売政策はEDLPを基本に、テナントを含めチラシでのハイ&ローも行う。チラシの頻度は確定していないが、9月は毎週、発行する。
<店舗概要>▽所在地=東京都福生市加美平3−17−9▽店舗面積=999㎡▽駐車台数=19台▽駐輪台数=18台▽営業時間=午前10時~午後8時

日刊流通ジャーナル2015年9月11日号より抜粋