
明治屋(米井元一社長)は16日、ビル改修工事のため2年間休業していた京橋ストアー(東京都中央区)をリニューアルオープンした。1933年に建設された本社ビルの1階にある店舗で、今回の改装では什器の高さを下げ、通路幅を広げて買物しやすい環境に改めた。旧店からの主要客層のニーズに対応するほか、テナントでジュースバーを導入するなど、より若い世代の取り込みもテーマとしている。

明治屋京橋ビルは、東京メトロ銀座線・京橋駅に直結する。地下鉄と一体開発された民間の建造物としては国内最古のものという。09年に中央区の有形文化財に指定されたこともあり、今回の改修は免震補強を伴う大規模な工事であったものの、建物の外観は改装前と同じ状態を保持している。
表通りのショーウインドーには明治屋の歴史を振り返るボードを掲示し、ゆかりの深いキリンビールや月桂冠の商品と合わせて展示している。キリンビールの前身であるジャパン・ブルワリーとは1888年に総代理店契約を結び、それが全国展開のきっかけとなった。月桂冠とは1915年、初めて日本酒の瓶入り商品を販売した経緯がある。
売場面積は120.1坪で、改装前とほとんど変わらない。内装は石材を使用した床を残し、照明や什器は一新した。什器の高さを下げたことで売場全体が見通せるようになり、以前より明るく開放感のある雰囲気になった。
小売事業本部管理部の須藤仁史課長は、新レイアウトのねらいについて「什器の高さを抑えたほか通路幅も広げ、買物しやすい環境を目指した。従来からのお客さまが利用しやすいことはもちろん、最近のチェーンストアに慣れた若い世代のお客さまにとっても、来店しやすい売場になるよう考えた」としている。
1885年創業の明治屋は、今年130周年を迎えた。1928年に「日本屋」の名称でスタートした店舗事業も87年が経過した。世代を越えて顧客を獲得してきたが、現在の主要客層は高年齢層が中心となっている。今後に向け30〜40代を取り込むことが課題となっている。
「嗜好性の高い上質品だけでなく、普段使いしやすい価格帯の商品を意識的に増やしている。食にこだわりたい、楽しみたいというお客さまは若い世代にも多い。そういった層を取り込みたい」(須藤課長)

日刊流通ジャーナル2015年9月18日号より