
イオンタウン(大門淳社長)は19日、06年に閉鎖したジャスコ成田店の跡地に、イオンタウン成田富里(千葉県成田市)を開設した。マックスバリュ関東(後藤清忠社長)のSMを核店舗に、テナント68店を集積する。約2㎞の距離にあるイオンモール成田(千葉県成田市)とのすみ分けを図り、足元からの集客を重視した運営を目指す。周辺には成田国際空港の利用客が宿泊するホテルが多いことから、インバウンド対応を強化した。専門店11店が免税対応となっている。
足元+インバウンド強化のNSC

イオンタウン成田富里は、京成線・京成成田駅から徒歩10分に位置する。2フロアのクローズド形式で、マックスバリュ以外では家電のノジマ、スポーツ専門店のゼビオ、ヴィクトリアゴルフ、100円ショップのダイソーなどが準核店舗となっている。
周辺はホテルが6施設あり、海外旅行客を中心に最大で1800人が宿泊する。また、年間1000万人が訪れる成田山新勝寺に近い観光地でもある。インバウンド対応は同SCの重要テーマとなっている。66店のうち11店が免税対応となっているほか、菓子や茶の専門店などは海外向けの土産コーナーを強化する。
大門社長は、「年間客数を400万人と想定するなか、5~8%は外国人旅行客を見込んでいる。プレオープンの状況をみると、ホテルにバスが着くと、外国籍のお客さまがどっと増える印象だ。通常のNSCに比べ、夜間の集客が見込める」としている。
館内には常時2名の案内係がいる。このアテンダーは特定のスペースにいるのではなく、館内を移動して顧客のサポートを行う。外国人客には、タブレットを使った多言語対応サービスを提供する。タブレットの画面を通じてコールセンターの通訳とやりとりできることで、よりきめ細かな案内を可能にする。通訳オペレーターは外部サービスに委託しており、英・中・韓・タイ・ロシア語に対応する。
また、フードコートには多言語対応型のメニュー検索システムを設置した。フードコート8店のメニューを選択し、注文票をプリントアウトする。言葉が分からなくても、その用紙を各店に出せば簡単に注文できる。

地元生鮮で足元を深堀り
同NSCの商圏は、車で15分圏の約4万世帯・9万人と設定する。170店が集積するイオンモール成田との距離は車で10分ほどであり、商圏の多くが重複する。インバウンド対応を強化しつつ、ベースとなるのは足元重視の取り組みだ。
「広域商圏のモール型SCに対し、週2~3回、日常的に利用される商業施設を目指す」(大門社長)
小商圏対応の中核となるマックスバリュは、売場面積647坪で展開する。導入部は青果と惣菜で構成するゾーンとし、奥を和日配の冷ケースで仕切った。主通路は青果・惣菜ゾーンから左折して鮮魚、精肉と展開する。最終導線は洋日配、酒類コーナーとした。
青果・惣菜を面で見せたねらいについて、後藤社長は 「首都圏のSM各社から学び、より強い生鮮を目指す取り組みの一環として新たなレイアウトに挑戦した」としている。
青果は地元生産者50名と提携し、近郊野菜を強化する。鮮魚は銚子港からの直送ルートを開拓し、鮮度アップを図る。既存店の仕入は築地を中心としているが、同店では半分以上を県内の船橋、銚子でまかなう。
後藤社長は、足元商圏を掘り下げるために、より狭い範囲での商品調達が必要という。「高齢化や競合店の増加を背景に、SMの商圏は小さくならざるを得ない。足元商圏の需要を掘り下げ、来店頻度を高めることでシェア向上につなげる。そのために地元商品、それも市内の商品を強化した」
なお、生鮮・惣菜ゾーンには空気清浄機としてプラズマクラスターイオン発生機を設置した。天井に40台、惣菜売場に10台設置しており、店頭ではPOPを使って空気の衛生環境をアピールする。

日刊流通ジャーナル2015年11月24日号より抜粋