大木ヘルスケアホールディングス(松井秀夫会長兼社長)は10月1日、卸事業の大木の単独株式移転による完全親会社として発足した。傘下には卸のほか、医薬品や健康食品等を扱うメーカー部門、小売のドラッグストア事業があり、ヘルスケアを軸に、幅の広い業態をグループ内に抱える。ドラッグストアの成長を支え、セルフメディケーションの推進、国民の健康の増進をはかることが、グループの大きな役割となる。消費者と商品の接点である店頭を起点とした商品開発や売場提案などの機能によって、小商圏で地域密着型の生活基幹業態を志向するドラッグストアの成長戦略をサポートしていく。

ホールディングス設立のねらいについて、松井秀正副社長は次のように語っている。「いままで、医薬品卸の大木が中核企業となっていたが、同業の地域卸や異業種(化粧品、眼鏡)の卸が傘下に入り、卸としても複数業態をもつようになった。メーカー部門ももっており、実際グループ外の複数の卸様や他企業様とお取引をいただいている。しかし、現場では競合卸の傘下にあるのでは、動きにくい側面がある。卸の下ではなく、新しい取り組みをしやすい形態にしていくため、その枠組みとして、ホールディングスを立ち上げた」
グループ各社が事業体としての自由度を高めることもねらった。同時に、グループ内の再編を進める。従来の卸中心のグループではなく、メーカー、小売も並列させることで、もっとフレキシブルで質の高い提案が可能としている。OTC医薬品中心の卸ではあるが、それだけでなく得意先に対し、さまざまなサポートを行っていくことをホールディングスの使命としている。
品揃えや商品企画などで価値創造を
9月第2四半期連結決算はインバウンド消費も寄与したことにより、当初の予想を上回った。売上高は前年同期比10.2%増の1026億8600万円、営業利益は1億0100万円増の1億1200万円、経常利益は26.9%増の4億9800万円、四半期純利益は40.1%増の3億5100万円となった。収益面でも当初苦戦を予想していたが、増益を確保した。しかし、OTC医薬品のロングセラー商品を中心として、利益の上がりにくい構造になっている状況も事実であり、メーカーおよび得意先との間で、商習慣を含め、利益の構造的な見直しが必要なことを指摘している。
「OTC医薬品卸は適正なマージンを確保することが難しい状況にある。メーカー、小売との間で、卸として機能を発揮していくためには、それなりのフィーが必要になってくる。当社への評価という形で、営業利益率1%がでるよう、卸としての機能を高めていく。これは、業界の健全な発展のためにも必要なことだ。当社は、小売、メーカー、もしくは消費者の方の卸は運ぶだけとの認識を変えていただけるよう、真の意味での品揃え能力や商品企画などを含めて、卸売業の価値をつくっていきたい」(松井副社長)
例えば、メーカー、卸と連携して、新しいカテゴリーが消費者に浸透するための売場開発に取り組んでいる。「改めて、いまあるものをローコストで届けるだけではないところに、卸の価値をつくっていきたい。そのひとつが商品企画開発による市場創造である。その方法として、この数年、製造メーカー、大手NBメーカーとの間で、商品ができる前の企画の段階から取り組みをさせていただいている。ターゲット、価格帯を設定し、パッケージ、また推奨販売もしくは店頭での大量陳列など、どの販売方法が相応しいかなどをメーカーと話し合いながら、つくっている」(同)
メーカーや、小売との企画取組商品は200億円を超えてきているという。小売との間でも、棚割をベースに企画開発を提案している。商品は小売企業の考え方を反映する重要なものであり企業によって濃淡はあるが、その開発サポートは、当社の機能として認識をいただけるように、小売と取り組みを行っている。
日刊ドラッグストア2015年11月26日号より抜粋