
カスミ(藤田元宏社長)は20日、千葉県市川市にフードスクエア本八幡店を開設した。地下鉄出入口に直結する複合商業施設への出店で、都心生活者のニーズに対応し、簡便商品やこだわり商品を充実させた。近年はマーケットの特性に合わせた店づくりに取り組んでいる。市川市にカスミの知名度はないが、足元商圏が肥沃で比較的、高所得者が多い。簡便商品や上質品の強化などによって、固定客づくりに取り組む。藤田社長は「できるだけ店ごとにMDを変えることに取り組んでいる」という。
都心生活者のニーズに対応し簡便商品やこだわり品を充実

フードスクエア本八幡店は都営新宿線・本八幡駅の出入口と直結する複合商業施設「アイビス」の1階に出店した。地下1階がメディカル施設、2・3階がヤマダ電機、4・5階が駐車場で構成される。
足元の500m内は1万1619人、1㎞内は3万2522人が居住する。マーケットが潤沢で、高層住宅の居住者や高所得者が多い。売場面積は497坪で、フードスクエアの標準タイプを下回る。
また複合商業施設への出店でイレギュラーな形態となった。4カ所の出入口があり、地下鉄乗降客のアクセスが便利なほか、幹線道路沿いの立地でJR総武線・本八幡駅や京成線・本八幡駅にも近く、徒歩・自転車での来店が中心となる見通しだ。
建物の制約で、レイアウトは横長のイレギュラーな形となった。生鮮3品と和日配を集約し、売場は生鮮ゾーンと加工品ゾーン(一般食品・惣菜・ベーカリー、洋日配)に大別される。生鮮は素材よりも、加工度を高めた商品を中心にアソートした。青果は地元の千葉産野菜をコーナー展開するほか、カットフルーツ・サラダで、ゼリー、ジャム、チルドドレッシングなどを関連陳列している。鮮魚は生食サーモン、スモークサーモンのサーモンコーナーや干物、骨なし魚など、簡便商材を充実させた。生食はマグロコーナーを展開し、メジマグロ、バチマグロ、大バチマグロなど、値ごろ感のある商品を中心に揃えた。
精肉は専門ニーズへの対応で、コンセの「ラ・ブシュリー」を導入した。直営ではユニットプライス980円の黒毛和牛ステーキを上限とし、コンセでみやざわ和牛、常陸牛、松阪牛の3ブランドを展開する。豚肉は銘柄の平牧金崋豚を中心とし、これを原料に加工したプロシュート生ハムも取り扱う。
加工食品は嗜好品を中心に、上質商品や地方の名産品を取り入れた。例えば、醤油はNB商品にとどまらず、かき醤、しょっつる、奇跡の醤などを揃えた。ドレッシングはNB商品とは別にゴンドラ1本で、地方メーカーのすりおろしオニオンソレッシング、たまねぎドレッシング、九州野菜ドレッシングなどを提案する。中華も、しょう油、料理酒、めんなど、本格調理の材料を揃えた。

日刊流通ジャーナル2015年11月27日号より抜粋