
買物を楽しむための空間づくり
ライフコーポレーション(岩崎高治社長)は5日、首都圏の旗艦店と位置づけるセントラルスクエア押上駅前店(東京都墨田区)を開設した。東京メトロ半蔵門線・京成押上線・都営浅草線が乗り入れる押上駅前に位置し、観光スポットである東京スカイツリータウンに隣接している。広域からの集客が見込めると同時に、1km内の商圏人口も約3万7000世帯・7万人と厚い。2フロア・1068坪の売場で、年商は初年度が46億円、3年目には50億円を目標とする。

直営売場は地下1階が614坪で生鮮・日配・グローサリーを展開する。1階は454坪で、惣菜と酒類、73席のイートインスペース「ライフカフェ」のほか、化粧品・日用雑貨・医薬品などのドラッグ売場で構成する。1階の出入口は3カ所あり、駅に最も近い側にドラッグ売場を配置した。インバウンド需要の取り込みも念頭に、カウンセリング化粧品を本格的に取り扱う。惣菜側の出入口は駐輪場に近い。2階はテナントのニトリが900坪の売場を展開する。3〜4階は駐車場、5階から上層階はホテルとなっている。
テナントのニトリや東京スカイツリーの集客効果により、商圏は3〜5kmと広く設定する。3km内は5店の既存店を展開するドミナントエリアでもある。
岩崎社長は、広域対応を強化するなかでも、1km内のシェアを重視する全社方針に沿った運営に変わりはないという。「インバウンドは多少、意識してやる。春以降の本格化に向け準備を進めている。ただ、軸を商圏内のお客さまに置くことに変わりはない。スカイツリーの観光客や周辺施設の従業員を意識し、即食ニーズに対応するだけでなく、レストスペースの提供にも力を入れる」(岩崎社長)
イートインスペース「ライフカフェ」は、店内で購入した商品を食べるだけでなく、カウンターを設けてパスタ(本体価格550円)やピザ(300〜350円)、ソフトクリーム(200〜250円)、コーヒーその他のドリンクメニューを提供する。同コーナーの運営はベーカリー部門が担当する。
「買い物を便利から楽しいへ、というコンセプトを追求するうえでは、物を売るだけでなく買い物の空間を楽しんでいただくことが大事になる。そこにはリラックスできる空間も含まれる。押上駅前店の場合、周辺は飲食のスペースが十分ではないという調査を踏まえ、より多くのスペースを割くことにした」(岩崎社長)

新カテゴリーを対面形式で提供
売場の各所に対面形式のコーナーを設けている。農産は、カットフルーツと直営のフラワーショップを地下1階、フレッシュジュースを1階にコーナー化した。花はブーケやアレンジフラワーなどでギフト対応を本格化する。フレッシュジュースは店内で販売している果実と同じものを使用する。また、惣菜部門のビュッフェコーナーにも量り売りのカットフルーツを供給している。
惣菜部門は主通路で展開するビュッフェに人を配置するほか、壁面ではオーダーフライとしてトンカツ(398円)やアジフライ(132円)など注文を受けてから揚げるサービスを導入した。インストアベーカリーも、注文を受けてからシュークリームにカスタードクリームを詰める「シュークリームキッチン」をコーナー化している。




日刊流通ジャーナル2015年12月9日号より抜粋