池野隆光会長インタビュー
「ウエルシアホールディングス」(水野秀晴社長)は9月1日付で、「CFSコーポレーション」(宮下雄二社長)を完全子会社化した。この結果、店舗数1500店、売上高5700億円を超える日本最大のドラッグストアが誕生した。めざす方向は、「地域に根差した日本一の調剤併設型ドラッグストア」である。24時間調剤を来期末までに100店にするほか、地域住民がくつろげる場所「ウエルシアカフェ」を各店内に順次設けていく。
以下は池野隆光会長の発言要旨である。
先日の店長会議で私は、「合併を繰り返して規模が大きくなっただけでは何の意味もない。本来在るべき姿にどれだけ早く持っていくことができるかが問われている」と強調した。
私は、ドラッグストアが長期的に成長するためのビジネスモデルは2つに集約されると考えている。第1は、調剤が併設されており、物販がその地域に合わせた品揃えになっていることである。第2は、地域包括医療の一翼を担うと同時に、地域生活者の健康寿命の延伸に貢献することである。
第1の調剤併設は、「ウエルシアモデル」の基本であり、旧ウエルシア関東では既に併設率は8割近くに達している。だがCFSコーポレーションを除くグループ全体では65%程度である。CFSコーポレーションについては、まだ35%程度であり、これを2年位で6割程度まで高める。
地域に合わせた品揃えの追求は、チェーンストア理論からは外れるが、例えハイコストになったとしても、地域生活者にとっての便利な品揃えを提供していく。
来期末、24時間調剤を100店に
24時間調剤は、救急病院やコンビニエンスストアと同じで、「開いているだけで助かる」という機能の追求である。現在当社は、埼玉県春日部市と坂戸市の2店で24時間調剤を実施している。これを今期末までに20店、来期末までに100店に拡大する。いずれもドミナントの拠点となる店舗で実施する。
例えば坂戸市の店の場合、深夜に応需した処方箋は先月1ヵ月で20枚だった。当然、採算には乗らないが、深夜に処方箋を応需しているということが、地域生活者にとって重要だ。事実、坂戸市長からはお礼の言葉を頂いている。警察と病院と薬局が開いていれば、何とかなるという考え方だ。それだけ薬局、薬剤師の社会的な使命は重要である。確かに24時間調剤は、薬剤師の確保をはじめ多くの課題があるが、しっかりとした仕組みを構築して、地域の人々の健康を守るという重大な使命を果たしていきたい。
一方、地域生活者の健康寿命を延伸するための取り組みも今期から取り組んでいる。新店や改装店に、10坪から20坪のくつろぎスペース「ウエルシアカフェ」を順次設けており、現在10店程度になっている。これも早期に100店ほどにしたいと考えている。例えば坂戸市のある店では、地方自治体、各自治会、ボランティア組織、養護施設などと連携を取りながら運営している。当社の薬剤師による薬の説明会や美容担当者による美容指導なども実施している。
こうした連携づくりはなかなか難しい面があるが、一度動き出せば地域の人々に喜ばれる。例えば、養護施設のスタッフに連れられ車椅子で来店された人たちが、買い物をしながらお互いに談笑し合ったり、スタッフ同士が愚痴を言い合ったりするなど、普段とは別の場所がストレスの発散となっている。
店舗のねらいは利益を生み出すことだが、「ウエルシアカフェ」は何ら利益を生むことはない。だが地域の人々のお役に立てるならばそれでよい。もちろんウエルシアだけではなく、こうした取り組みが多くの店に広がってくれればよいと思っている。
日刊ドラッグストア2015年11月30日号より抜粋