
生鮮・惣菜で即食強化、若い世代の取り込み図る
ヤマザワ(古山利昭社長)は12月10日、寒河江プラザ店(山形県寒河江市)を開設した。旧店をリビルドしたもので、衣料品などをカットし、ヤマザワ薬品のドラッグストア(売場面積242坪)を導入している。直営面積は587坪で旧店と大きな違いはないものの、生鮮・惣菜のスペースを広げた最新モデルとなっている。
オープン直後から、夕夜間を中心に若い客層が増えた。阪(ばん)英人店長は、夜間に向け商品をつくり込む体制が重要と語る。
「30代夫婦のような、これまで取り込めていなかった客層がグンと増えた。建て替え以前からのメンバーに若いスタッフも加わり、早番・遅番を適切に組み合わせてあるべき売場の実現を目指す。人員配置は概ねうまくいったが、鮮魚のようにオープン時点では課題を残した部門もある」(阪店長)

惣菜部門の量り売り惣菜は、夕方のタイムサービスの一環として毎日、実施する。松見町店(山形市)などの基幹店のように大規模にコーナー展開するのではなく、売場の一角で1品から6品前後まで幅をもたせる。
生鮮各部門はそれぞれの素材を使った惣菜商品を充実させるなど、簡単・便利をコンセプトとするコーナーを拡大している。鮮魚部門のカルパッチョや精肉部門のローストビーフなどは、建て替え前はミートカルパッチョステーションとして同じコーナーで運営していたが、再オープン後は売場を分けた。催事などではこれら商品の横断的な売場を展開し、部門間の連携を強化する。
また、焼魚は鮮魚部門と惣菜部門で独自にMDを展開している。
「鮮魚の焼魚は、鮮魚部門で仕入れた生の素材を使用している。惣菜の焼魚コーナーと売場は離れているが、時間帯によっては寄せて展開する場合もある」(阪店長)


小容量で買い求めやすい商品を拡充する目的で、鮮魚と惣菜部門に「いろいろ食べてうまい」コーナーを導入した。鮮魚部門は中華クラゲやワサビ漬けなどの副菜から、サケの切り身やホッケの切身干し、サンマの蒲焼、タラコのうま煮などを少量目で商品化した。いずれも食べ切りサイズで、価格帯は100〜200円台となっている。
阪店長は、全社方針である少量目対応を定着させることで、上質品の提案も広がるという。
「食べたいけど、量が多くて買い控えるというお客さまニーズに対応することがコーナーのねらいだ。ガンガン売上をつくるものではないとしても、育てていく必要がある。こうした量目提案が定着すれば、ワンランク上の商品にも応用できる。例えば黒毛和牛のすき焼き用肉を2枚からとか、ステーキなら100gから商品化するなど、美味しいものを少量だけ、というニーズを深掘りしていく。ターゲットはシニア層や単身者だが、最小単位による展開は利便性が高いので、若い家族を含め幅広い層に喜ばれるだろう」
一方、地域性を考慮した大容量パックも欠かせない要素と指摘する。
「土地柄もあって、生鮮素材の大容量パックは今も強いニーズがある。便利に使われる店を目指すうえでは、小容量も大容量も外せない」(同)
ベーカリー売場は、建て替えを機にサンドイッチやハンバーガーコーナー、専用設備で焼成するピザを導入した。いずれも若い客層の即食ニーズに対応する。
日刊流通ジャーナル2016年1月19日号より抜粋