上田真社長インタビュー
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH、上田真社長)は資材・消耗品の共同調達や合同商談によって、事業会社がスケールメリットを享受している。今後、ホールディングスの戦略として、本部機能の集約を進める。すでに広報・IR、総務の機能を一本化している。今後、財務、経理の一本化によって可能な限り、管理部門を集約していく。3社のシステムを統一することが前提となり、それに向けICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)デザイン準備室を立ち上げた。

――以下は、上田社長の発言要旨である。
11月、12月と天候不順や野菜の相場安で、トレンドが変わってきた。マルエツの11月の既存店は2.2%増で、10月までと比べ伸び率が鈍化している。鍋物商材など、売場とお客さまが購入されるもののミスマッチがみられる。それでも当面の目標である生鮮・デリカの売上構成比50%は維持しており、生鮮の足腰は強い。全体の売上も堅調で、荒利率よりもトップラインを伸ばすことを優先している。荒利率は意識的に引き下げている。センター商品が多い生鮮の売上が伸びることで、自ずと荒利率は下がる。だが、トップラインが上がることで、総荒利高は伸びている。荒利率はさらに0.5P引き下げたい。無駄なロスを発生させず、価格競争力を高め、集客アップによって、0.5P下げても成り立つ体制にもっていきたい。
Tポイントカードも集客の武器となっているが、これがないと商売の組み立ての検証ができない。例えば、ABC分析を行うと、Cランク商品は本社でカットの対象となる。ある店ではAランクの場合もあるし、Cランクであってもロイヤルカスタマーに購入していただいているケースがある。そういう商品は売り込み商品ではなく、1フェイスの確保で十分である。Tポイントカードがなければ、こうした事実を見逃してしまう。今後、カードを活用したロイヤルカスタマーへのアプローチも必要になる。
作業効率の改善でデリカセンターを検討
PCによって、作業の効率化が図られている。畜産、水産のバイヤーが仕入れた商品をPCで加工し、デリカ部門に納品して最終加工しているが、それをもっと増やしていきたい。場合によっては、デリカセンターを検討する。やみくもにセンターを増やすのではなく、パートの採用が厳しい状況にあって、デリカセンターがひとつの解決策になる。まだ構想レベルだが、マルエツの単独センターにするのか、規模感をもったHDのセンターにするのか、二通りを考えている。
上期の新店は8店だった。新しいモデルの新川崎店(川崎市幸区、558坪)は堅調に推移しているが、これを越えるものをつくりたい。出店は小型店のマルエツ プチが多いが、500坪の規模がないと新しいことにチャレンジできない。16年は改装を進めるが、17年は500坪型の新店を開設する。新しい試み、店づくりに真剣に取り組みたいと考えている。いままでの限られた売場で密度を高めることは間違いではないが、いまひとつワクワク感がない。16年は大型店2~3店を改装し、新しいことにチャレンジしたい。従来のプロトタイプを一歩前へ進め、変化のある売場づくりを目指す。物件がないと話しにならないので、開発の人員を増員し、質的にも強化した。
一方のマルエツ プチはようやくオペレーション、MDの形ができてきた。現在66店になり、三郷複合センター(埼玉県三郷市)に併設した専用の小分けラインが手狭になってきたので、隣接エリアで拡張したい。なおマルエツ プチは勧告発注システムを導入している。ドライ、日雑は売れ数を発注する。日配品、生鮮品(100%センター供給)は過去の一定期間のPI値に基づき、予想客数によって発注量が算出され、担当者が天候などを配慮し、修正する。これがプチバージョンの発注である。当社の店舗は売上高に合わせ、大型店、標準店、マルエツ プチに分類している。プチバージョンの発注を標準店にも取り入れ、生産性の向上が図られた。都内を中心に人手不足が慢性化している状況にあって、人手をかけない仕組みを真剣に考えなければならない。いまは人時数を増やすことがトップラインの拡大につながっている。売上は山、谷の時があり、谷に入った時にはこの方法は通用せず、人時そのものを削減しなければならない。
日刊流通ジャーナル2016年1月4日号より抜粋