古山利昭社長インタビュー
ヤマザワの古山利昭社長は、山澤進会長の三女と結婚し、11年に山形銀行を退社した後、ヤマザワに入社した。15年5月に社長に就任し、現在は山澤会長との二人三脚で将来のビジョンを描く。当面は、社員やパートの考え方・働き方を変える組織風土の改革に力を注ぐ。営業戦略では、山形・宮城ともに既存店の活性化に軸足を置く。「既存店の改装が遅れ、店舗年齢の古い店が多く残っている。この数年で、経営基盤を固め直したい」(古山社長)

――以下は古山社長の発言要旨である。
社長就任は正直、早いという思いもあったが、社内の店舗運営や商品のプロフェッショナルに支えられてやっている。会長とは毎日、話し合いの中で鍛えていただいている。諸先輩に囲まれて経営をしている現状だが、自分の意見はしっかり述べるようにしている。既存の枠の中で踏襲し続けることが、必ずしも正しいとは限らないからだ。
現在は社員やパートスタッフの意識改革が主要テーマと考えている。当社はトップダウン型の企業体質でやってきたが、これは創業者の会長だからこそできることだ。これからは何千人という従業員が、それぞれの思いを明確に打ち出して仕事をする組織風土を育てたい。
トップダウン型といっても、もともと当社の店長たちには個店主義の気質がある。ただ、外部から来た私の眼には、言われたからやるという側面も強いように感じた。店長主導で、もっと自由な発想で店舗を運営してもらいたいと思っている。
考え方を変える第一歩として、今期は売り込み商品のプロモショーンである「チャレンジ企画販売」を開始した。従来、「日曜チャレンジ」として実施していた企画の期間を延長し、いろいろな売り方を試している。単品量販の取り組みから、関連商品を含めた部門横断型のプロモーションに進化している。試食や声掛けで売ることはもちろん大事だが、それだけで終わるのではなく、現場の発想と、こんなふうに売ってみようという思いを引き出すことがねらいだ。当初は1つの企画で1カ月間やっていたが、今は2週間サイクルに改めている。
会員カード 電子マネー搭載型へ切り換え進捗
電子マネー搭載の新しいポイントカードを10月に発行した。実働66万人の会員のうち、11月末で14万人が新カードに切り換わった。当初は年内10万人を目標にしていたので、予想以上に順調だ。売上の約1割が電子マネーでの支払いだが、3~4割にならないとレジ通過のスピードを高める効果は本格化しない。
また、現在はポイントの還元を商品券で行っているが、将来は電子マネーの付与に合理化したい。ただ、お客さまが商品券を望まれることも考えられるので、検討のうえで決めていく。
今期は、サクランボやウナギなどのギフト品が2~3割も上昇した。前年に購入いただいたお客さまに、今年の商品をきちんとご案内したことが成果につながった。当たりまえのことをしっかりやることが売上につながる。サクランボなどは、以前は直営のネット通販もやっていた。利用数が伸びないため中止したが、いつか再挑戦したいと考えている。山形県産の優れた商品を全国にアピールすることは、地元の活性化につながる。
日刊流通ジャーナル2015年12月18日号より抜粋