アルフレッサ ホールディングスの事業会社アルフレッサ ヘルスケア(勝木尚社長)は、新しいカテゴリーの創出につながる商品や情報発信力の高い売場づくりの提案による差別化に取り組んでいる。業態間の垣根が低くなる中、特徴のある商品や売場づくりで来店動機を創出し、HBCの拠点としてのドラッグストアの競争力強化をサポートする。教育に力を入れてきたことで、来店につながる売場づくりや効果的な情報発信などの成功事例が蓄積し、メーカー・小売の双方との取り組みが拡大している。
旧丹平中田とシーエス薬品のヘルスケア事業が統合し、アルフレッサ ヘルスケアとして新たにスタートした2011年以降、営業担当者の教育に力を入れ、機能づくりを進めてきた。卸として、金融機能と物流機能で差別化することは難しい。情報をキャッチして良い商品を小売業各社が選択できるようにすることと、店の売上アップにつながる提案で独自性を追求する。
取引先のうち、構成比が高いドラッグストアは、かつての薬局・薬店から化粧品、ホームケアなどの日用雑貨、最近では食品と調剤をラインロビングしながら拡大している。これと並行して売場面積は300坪、600坪と大型化した。コアのHBCで新しいカテゴリーが求められている。またラインロビングでスーパーマーケットやコンビニエンスストア、ディスカウントストアなどと取扱カテゴリーが重複し、業態間の垣根が低くなるとともに、ネット通販やネットスーパーの拡大により、来店動機を打ち出すことが必要になってきた。
ドラッグストアは薬剤師や登録販売者、管理栄養士など専門の有資格者を配置して安心、信頼、安全を確保しており、HBCで優位性を発揮できる。メーカーはテレビCMを放映し、大型商品に育成するが、他にもたくさんの良い商品を展開しており、売場での訴求力の重要性が増している。
商品を陳列しているだけでは売上につながらない。平均するとドラッグストアは1店あたり3万5000アイテムを品揃えし、お客さまの滞店時間は15分程度である。その中でいかに情報を伝えられるかがポイントになる。パソコンやスマートフォンに代表されるモバイル端末の発達で、生活者は多くの情報を持っている。情報発信は、お客さまに良い商品と思われるところでとどまるのではなく、バスケットに入れてもらうものでなければならない。整理された的確な情報を伝えることで取引先の収益アップに寄与する。
卸の営業担当として、提案を売場で実現できなければ価値がない。来店につながる仕掛けづくり、POP等での情報発信、売場展開、MDを含め、買いたくなる売場づくりの研究と教育の成果が出てきた。営業担当者から売り方の知恵が出てくるようになり、成功事例が蓄積してきた。地道な努力の積み重ねによってドラッグストアやメーカーから評価され、帳合を任せてもらえる取引先が増えている。
現在、OTCの症状別提案(CDT:消費者購買意思決定ツリー)を研究している。例えば胃薬は多くのメーカーが多様な商品を展開しているが、ストレスや飲みすぎなど、症状別でそれぞれ適した製品がある。症状別に整理したわかりやすい売場提案に活かしたい。もっと機能を磨いて取引先の期待に応えていく。
日刊ドラッグストア2015年12月17日号より抜粋