宮下直行社長インタビュー
ミニストップ(宮下直行社長)は、SMニーズを取り込むための品揃えと、独自性のある店内加工FFの強化で営業力を底上げしてきた。宮下社長は、「出店競争で1店あたりの商圏がいっそう狭まるなか、商品で特色を出さなければ選ばれる店にならない。ミニストップといえばこれと思われるものを追求していく」という。コールドデザート以外にも、ホットスナックやコーヒー関連、地域商品などで独自のMDを充実させていく。

――以下は宮下社長の発言要旨である。
コンビニの商圏が狭まるなか、商品で独自性を打ち出すことが今まで以上に重要になっている。当社でいえば、コールドデザートがその1つだが、カウンターのデリケースに展開するホットスナックも強化ポイントだ。前述のように売上が伸長しており、商品開発にもさまざまな可能性がある。変化の余地が多く残されたカテゴリーとして重視している。
カウンターコーヒーを刷新した効果も出ている。厨房でドリップする方法から、マシンで1杯ずつ抽出する方法に改めた。オペレーションの負荷は減らし、販売数量は伸ばしている。目標としていた1店あたり1日70杯は確実にクリアできそうだ。マシンを複数台設置する店舗は全体の5割近くとなり、ロードサイドの店は2台でも足りない状況だ。
コンビニの組織はナショナルチェーンだが、加盟店の商売は地域産業そのものだ。お客さまはその地域に住んでいる人だけであり、そこで望まれる品揃えでないと支持されない。今期は組織体制を見直し、地域商品の強化に取り組んでいる。
中食で地域商品を開発しようとすれば、ベンダーを探すことから始める場合もある。そのことがバイヤーにはいい経験になっている。また、地域の加盟店オーナーが試食に参加することもある。こうした過程を経ると、その商品に対する加盟店の意欲も違ってくる。個々の加盟店は、チェーン規模に関わりなく商圏ごとの戦いであり、そこで勝ち残っていくには地域色が不可欠だ。
シスカ FC化を視野に検証
新業態のシスカは、今期中に7~8店になる。24時間営業ではなく、土日も休業というフォーマットだが、大都市圏では十分に成り立ちそうだ。昼間はコーヒーを基軸に、夕方はちょい飲みニーズの取り込みと、二毛作の運営ができている。仕事帰りに立ち寄ったり、待ち合わせに使ったりと、お酒を軽く飲むために利用されている。だから単価は1000円前後だが、生ビールは「ハートランドビール」を扱い、おつまみとしてアヒージョをメニュー化するなど、ちょい飲みの中でも付加価値を提供できるようにしている。
FC化が可能になれば、経営したいというオーナーは多いと思う。スタッフは通常のコンビニより集めやすい。店内環境やユニフォームなど、働く側にも好感を持たれている。さまざまな立地で検証を進め、FC化の目処がついた時点で一気に広げたい。
出店ペースは年々上がっており、今期は160店を予定する。重点エリアである大都市圏は大手との競争も厳しいが、特色ある商品を揃えることで十分に戦える。加盟店オーナーの獲得に向け、複数店経営のインセンティブや、新規オーナーのための仕組みづくりを検討している。
日刊流通ジャーナル2016年1月8日号より抜粋