ライフコーポレーション(岩崎高治社長)は、店舗ごとに1㎞商圏の深堀りをテーマとしている。17年度までの3カ年計画で、顧客視点を徹底するための風土改革に取り組んでいる。岩崎社長は、「お客さまの立場で考え行動することについて、今期は東西とも進展した。この流れを来期も止めないようにしたい」という。成果は実績にも表れており、既存店は11月までの累計で4.8%増と好調だ。12月に発売した新しいPBシリーズやネットスーパーの取り組みも、1㎞商圏を深掘りする一環と位置づける。
――以下は岩崎社長の発言要旨である。
既存店は秋まで好調に推移してきたが、11月は0.8%増で12月も中旬までは同様のペースとなり、やや減速感がある。ただ、11月は天候が悪く、野菜相場も下がった。その中でも前年をクリアしているので、消費の風向きが変わったとまでは思わない。
今期からID-POSのデータを基にしたクラスター分析を始めている。普段使いしていただいている層や、価格重視の層、家庭で調理する層、健康志向の層など、購買行動に基づいてターゲットを設定している。商圏によって各クラスターの比重を見ながら個別に対応している。店長権限での対応を含め、店ごとに商品・価格政策を決めている。
第5次中計では、半径1㎞のシェア拡大を最大のテーマとしている。既存店の累計で4.8%増という実績は、商圏の人口増やインフレを織り込んでも評価できる数値だと思う。1㎞のシェアを上げるために、お客さまのニーズを深堀りしなければならない。お客さまの立場で考え行動することを掲げた風土改革の目的はそこにある。首都圏で始まった取り組みは近畿圏に広がり、本部社員も店舗に出て仕事をしたり、アンケートやモニター調査を重ねることで意識が変わってきた。
3月に独自電子マネー導入へ
来期は当社独自のクレジットカードと電子マネー決済を導入する。電子マネーは、外部のシステムを導入すると手数料がかかる。運用コストを抑えて利便性を高めるため、独自のシステムを構築することにした。電子マネー決済は、とくに高齢者のニーズがあるとみている。現金を扱うより、スムーズな決済が可能になる。
ネットスーパーは今期、2倍の20店に拡大した。10店の取り組みで3割は黒字化したことで、拡大に踏み切った。1日あたり100件は必要で、その水準が可能になった。17年度中に43店と計画していたが、もっと増やそうと思う。ネットスーパーの売上を100億円規模にするため、拡大のスピードを上げていく。
ネットスーパーの目的は、1km商圏を深堀りするうえでの補完的なものだ。ネットで販売する分、リアル店舗の売上に影響は出るだろう。それでも、ネットとリアルの合計でシェア向上につながればいい。
来期の新店は10店くらいを予定している。2ケタ出店を継続しても、他社に比べ社員数が多いことから余力はある。パート戦力の引き上げも同時に進めており、既存店の戦力が希薄になる心配はない。改装投資は今期と同様、60〜70億円規模が基準になるが、ペースを落とす可能性もある。
日刊流通ジャーナル2016年1月18日号より抜粋