サミット(田尻一社長)はライフスタイルの変化に対応した店づくりに取り組んでいる。惣菜をはじめ即食・簡便型商品の需要が高まっている状況にあって、新MDによって生鮮部門で素材を加工し、店舗全体の機能分散、最適化を志向する。田尻社長は「地下の高い都心で展開するSMとして、部門の損益ではなく、店舗全体でお客さまのニーズに応えていかなければならない」という。
——以下は田尻社長の発言要旨である。
われわれは首都圏で展開している。有り難いことに人口が増えているが、単身・2人世帯の伸びが高い。そういうエリアであるため、出店攻勢が凄まじく、客数を増やすことが難しい。1次・2次商圏からは計画通りに集客できているが、その外側が見込みにくい。毎年、商圏内には50店前後が出店し、これが客数減の要因になっている。16年も、基調は変わらないだろう。
客数増が見込めないなか、いかにお客さまの支持を得るかということが重要だ。いま、買物する場所が分散している。メインの店があって、サブで複数の店を使い分けされているようだが、メインを利用する回数が減る傾向がみられる。当社で集中して買物していただけるような支持される売場づくり、接客に取り組んでおり、16年に西東京エリアで、それを集大成した店舗を開設する。
東中野店(東京都中野区)に配置した案内係は、お客さまからいろんな意見をいただいている。レポートをみると、いろんなご不満があることが分かる。そうしたことも含めて、お客さまとの対話を重視している。
客数が伸びない要因のひとつに、インストア惣菜の導入が遅れたことがあげられる。食材の提供から食事そのものの提案に移行することが遅れた。第1次MD改革として、11年9月にオープンした成城店(東京都世田谷区)で、生鮮を含め、食そのものの提案に取り組んだ。惣菜のほか、生鮮各部門が素材を加工することで、店全体の魅力度を高めることに取り組んだ。店の魅力を1カ所に集中させずに分散し、買い回りしてもらうもので、ある程度、支持された。
11年以降、部門を破壊
以降、第2次MD改革で13年11月に野沢龍雲寺店(世田谷区)、第3次で15年3月に東中野店を開設し、ひとつの形ができた。なお、東中野店は珍品を上質品と勘違いした部分があり、MDの見直しを指示している。ただ、クロスMDの考え方がうまくいった。部門の責任者がうまく行動する体制がとれた。成城店をオープンした11年から、店、商品部で部門を壊し続けている。
日刊流通ジャーナル2016年1月19日号より抜粋