
創業の地の1号店を地域密着型の最新モデルに
ヤオコー(川野澄人社長)は15年12月8日、創業店である小川ショッピングセンター(埼玉県比企郡)をリビルドし、再オープンした。1890年に八百幸商店としてスタートした店で、1972年に本格的なスーパーマーケットに転換し、その後、チェーン展開を進める。1978年には小川ショッピングセンターとして規模を拡大、ピーク時は35億円を売り上げた。
建て替え後の年商は、直近の売上から1割強アップの19億円を計画する。2階建の商業施設で、衣料品や100円ショップなどテナント9店を誘致した。
川野社長は、「人口減と高齢化が進んでいる地域とはいえ、創業以来の信頼感があり、地域とのつながりは、当社のどの店とも比べものにならないほど強い。売上自体も、決して他の既存店に見劣りするものではなく、一定のマーケットがある。地域に合わせて高齢者向けのテナントを集めた。すんなり決まったわけではないが、ショッピングセンターという従来のかたちを残したいと思った」と語る。
足元1kmは2500世帯・6000人が居住する。3kmで9300世帯・2万3700人となる。同店から北へ約1.5kmの距離には自社のみどりが丘店(埼玉県比企郡)がある。

サバの煮付、あんぱん 地域対応の限定商品を開発
直営の売場面積は568坪で、500坪だった旧店よりひと回り大きくなった。地元商品の拡充や新しいコーナーなどでMDの変更は幾つもあるが、売場のレイアウトは既存客に分かりやすいよう従来のかたちを概ね維持した。高齢者への対応で、売場面積に対しイートインスペースは広めに確保した。店長はサービス介助士の資格を取得し、品揃えは各部門で小分け・少量目を強化している。
販売部長の小澤三夫取締役は、同店のMDについて次のように語っている。
「店が新しくなっても、地元のお客さまに自分たちの店ではないと思われないように配慮した。昔から食べてきたものを買い求める傾向が強い商圏なので、地域対応を徹底した」
地場野菜を以前よりも充実させたほか、地元の酒蔵の商品や人気店の「おからドーナツ」、うどんなどを導入した。地域の嗜好に合わせ、精肉は味噌漬けの半加工品やモツ関連を強化している。
惣菜は地域の味に対応し、同店限定の仕入でサバの煮付を商品化した。他店よりサイズの大きいサバを使用している。ベーカリーでも限定品「小川あんぱん」を開発した。地域の嗜好に合わせ、マーガリンの風味を利かせている。

地域対応を徹底する一方、新しい食文化の提案も一部で試みる。最終コーナーに新設したデイリーコレクションでは、ナチュラルチーズなどとオリーブオイルの関連提案を行う。同コーナーは従来、ワインとチーズなどとの関連提案が一般的だったが、最近の新店ではワインに変わってオリーブオイルを配置するケースも見られる。
「もともとオリーブオイルの売上は悪くなく、このカテゴリーを広げたいという店長の思いでコーナー化した」(小澤取締役)
また、サラダ・サイドディッシュの一環で、ローストビーフのパックと、ベビーリーフ等のパックを関連陳列するコーナーを設けた。好みに応じてサラダを組み合わせられる商品として提案する。

日刊流通ジャーナル2016年1月21日号より抜粋