セブン&アイ・ホールディングス(村田紀敏社長)は15年11月、グループのネットサイトを横断するオムニ7をグランドオープンした。PBのセブンプレミアムに次ぐ、グループのシナジー追求の場と位置づけている。ネットで購入した商品をセブン―イレブンで受け取る相乗効果がみられるが、「満足度は5~6割程度である」(村田社長)という。よりネットの情報発信の機能を高め、商品のコーディネート提案の充実などに取り組む。最終的には、情報共有によって、モノづくりにつなげる。
――以下は、村田社長のインタビュー要旨である。
――グループ方針のオムニチャネル推進の進捗状況はいかがですか。
村田社長 昨年11月にオムニ7がスタートした。仕組みとしては順調で問題なく、動き始めた。そういう面で舞台はでき上がったが、具体的にどういう商品、サービスを提供できるかという点ではまだまだ不備がある。満足度は5~6割程度だ。リアル店舗は具体的な情報は商品であり、お客さまと接する従業員である。従業員が情報発信し、具体的にモノが入って説明していくわけだが、ネットの場合には、よりもっと深く情報発信ができる。
企業サイドからの発信もあるし、それを使ったお客さまの情報もある。場合によっては、着こなしやおいしい食べ方という情報発信が、ネット上では非常に多彩にできる。その辺がまだスタートしたばかりだから不十分だ。
ネットで組み合わせ提案を
一般的にいわれる商品が足りないということも含めて、これからひとつ一つ構築していく余地が大きいと思う。われわれとしては、セブンプレミアムをつくった時のようなグループ一体のシナジーを発揮したい。ホールディングスがスタートして6~7年かかった。セブン―イレブンが09年に近くて便利というコンセプトに変えて、そこから品揃えが拡大していった。今回のオムニチャネルはグループとして第2のシナジーと位置づけている。グループ全員参加であり、まずそれを認識させなければならない。
もうひとつのシナジーで、システムで売るだけでなく、普通のネットショッピングではないのでグループの情報を共有して、モノづくりにも活かしていく。ないしは外部の力もうまく活用していくようなところまで入り込まないと、オムニチャネルというのは本来の姿にならない。
例えば、統合システムができたので、その中で商品がお客さまの目線から在庫として共有化されている。百貨店、イトーヨーカ堂で販売している商品をコーディネートすると、リーズナブルな価格でファッションを組み合わせできるようなものを具体的につくり上げていかなければならない。それぞれの店で、私たちの商品はこうですよと情報発信しているだけでは、まだまだレベルが低い。
――セブン―イレブンの店頭で受け取れることで、客数増の効果が現れているようです。
村田社長 現象面としてセブン―イレブンの店頭での受け取り効果が出ているが、ネットショッピングだけでなく、店舗に誘導するウェブムービングが少し出たからうまくいっているというレベルではない。
もっと頻繁にお客さまが利用されて、ネットとリアルを行き来するようにつくっていかなければならない。そのためには、何といっても単品ではなく、トータルコーディネートでの品揃え計画をつくっていかなければならない。
日刊流通ジャーナル2016年1月15日号より抜粋