新日本スーパーマーケット協会 横山会長インタビュー
新日本スーパーマーケット協会(横山清会長)は9日から3日間、東京ビッグサイトで「第50回スーパーマーケット・トレードショー」を開催する。50回の節目を迎えることを契機に、ビッグサイトの東西全館を使用し、外食、中食など4団体と共催で「FOOD TABLE in JAPAN2016」の名称を掲げる。業種の枠を越えて、5団体が食トータルの提案を行う。横山会長は、「第50回に向け、この3年間、ホップ、ステップ、ジャンプと準備を進めてきた。今回まさにジャンプの時を迎えるが、飛び終えた後に、また新しいホップが始まる。今回、半世紀というけじめをつけ、次の半世紀に踏み込む大きな出発点になるだろう」と語っている
——以下は、横山会長のインタビュー要旨である。
——トレードショーが半世紀を迎えます。流通業界への貢献度について、どのようにお考えですか。
横山会長 トレードショーは50年だが、協会は58年の歴史がある。今回、本格的に東京ビッグサイトの東西全館を使用し、食品に関しては、おそらく日本最大の展示会になる。ある意味、ピークアウトになる。オリンピックが終わるまでは別の会場で開催することになり、当面、今回の規模は無理だが、新しいホップ、ステップ、ジャンプを続けるためには、より中身を充実させていかなければならない。
年明け早々、株価の低迷や地方でSMの再編などの動きがみられるが、SM業界の最大の明るさはトレードショーだと考えている。私が副会長の時にトレードショーの責任者を引き受け、10数年たった。第1回から何らかの形でかかわっているが、はじめの頃は什器メーカーのケースとNBの売れ筋商品を中心に展開していた。当時と比べると、とてつもないとこまできた。トレードショーは世界に誇れると思う。
——FOOD TABLE in JAPANとして外食、中食などとの連携になりますが、これからのSMと異業種との関係について、お聞かせください。
横山会長 先ほどもいったようにトレードショーの最初のころは、什器とNB商品が中心だった。生鮮を持ち込むことは考えられなかったが、その後、増えていった。本来、SM、GMS、百貨店は役割が異なる。だが、周知のように、ラインロビングによって、業種の垣根がなくなってきている。どの業種も、惣菜屋さんになっている側面がある。これは、恐るべきことで、ドラッグストア、ホームセンターなども惣菜的な商品を取り扱っている。また外食の動きをみても、居酒屋が昼食メニューを出している。
一時、食材から食事へという動きがあった。アメリカでも、再びその動きがみられる。それから何といっても、コンビニの影響が大きい。かつては、若者を中心に一部の層に限定されていたが、5年前の東日本大震災以降、主婦や高年齢層など、客層が大きく広がっている。聞くところによると、都市部で150m、全国平均で530mに1店、コンビニがあるという。そんな状況だから、とっくに百貨店の売上を抜いて、15年に10兆円を超えた。場合によっては、SMを超える時代が訪れるかもしれない。ただ、余りに偏ると問題がある。
トレードショーを惣菜、中食などの展示会と共催するのは、ある意味で、ライバルと手を組むようなものだ。チェーンドラッグストア協会といっしょに展開するケアフーズゾーンもそうだ。つまり消費者のニーズをもっと広く、深く認識するには、いろんな展示会を一堂に集めて、主張するところを分かりやすく展示し、しかも資料を出し、説明もする。
これはいかがなことかと思ったが、私も長年の経験からプランニングを立てる際、過去のものをベースにしながら、新しいものを織り込んでいくということを続けてきた。これまでの半世紀にけじめをつけて、次の半世紀に踏み込むことは大きな出発点になるだろうと思っている。
いろいろ懸案があったが、全国47都道府県の出展者を網羅し、産学官のほか、金融機関も出展している。金融機関が直接出展する展示会は、数少ない。地方メーカーだけでなく、農業、水産までを含めた融資先の生産者のいろんなスキームを展開していく。東日本大震災で被害が甚大だった福島も大きなスペースで出展する。トレードショーが、それだけ信頼されているということだ。
視点を変え海外に情報発信
——出展者の広がりということでは、海外のバイヤーも注目されている。海外の小売業との連携も進んでいるのですか。
横山会長 今回、アセアン4カ国から小売団体のトップを招聘する。日本産品が揃っている環境をみてもらって、興味があればぜひ、バイヤーを輩出して欲しい。いままで国内のマーケットを中心にやっていたものを海外に広げていきたい。
協会としては米国のFMIとの関係が深い。FMIショーは世界のバイヤーが参加し、われわれのような極東からもSMの同業者が集まり、広がっていった。オリエンタルではあるが、トレードショーも世界に広げていきたい。メーカー、流通も、もう少し視点を変える必要がある。海外からの問い合わせがあって、それを受けてみようかというのではなく、もっと明確な方向性を出していかなければならない。もっと多彩に、商品を取り入れていきたい。
国内に目を向けても、地方の商品で、十勝の長芋などはほとんどなかった。私がトレードショーの責任者になってからも、金融機関がこれほど積極に入ってくることはなかったし、商工会議所も東京商工会議所のブースがあったが、地方はそこを小分けして使用していた。それがいまは、全国のあらゆる地銀、商工会議所が出展するようになった。
協会自体も、北海道滝川市から3人目の出向者を受け入れる。滝川市は全国的な知名度こそないが、同じ机を並べ、いろんな勉強をし、情報を集めたいという意向がある。もちろん、われわれにも自治体の慣習や動きを学べるメリットがある。これもグローバル化といえるかもしれないし、もっと広がりがでてくる。われわれの予想を越えたもうひとつの新しいフードテーブルができることになるかもしれない。
日刊流通ジャーナル2016年2月5日号より抜粋