
標準600型に、800坪クラスのアイテムを集積
ヨークベニマル(真船幸夫社長)は11日、栃木県宇都宮市に売場面積635坪の鶴田店を開設した。これにより総店舗数は205店となったが、そのうち5店は福島原発の影響で休業したままだ。大高善興会長は、「創業から68年で、実質的な200店舗に到達した」としている。売場面積は標準規模だが、今期の700~800坪クラスと同程度のアイテムを集積した。全社的に取り組む地域対応の一環で、地元商品を拡充している。
同店は、JR宇都宮駅の隣駅である日光線・鶴田駅から北西へ約2㎞の県道沿いに位置する。足元の1km内には約3800世帯・1万人が居住する。初年度は年商15億円を計画し、構成比は生鮮で36.3%、ライフフーズの惣菜・ベーカリーで14.3%を見込む。
アイテム数は約1万で、従来の同規模店に比べ2000ほど増やした。品揃えは同店より200坪近く大きい守谷店(茨城県守谷市、807坪)に匹敵する。また、最近の店舗は冷ケースを増設する傾向にあり、新店もその流れを踏襲している。結果として、グローサリーのゴンドラは第2主通路の方へ伸びている。
アイテム数が増えた要因の1つが、地域商品の拡充だ。今期はエリア単位で店舗を管轄するスーパーバイザーが、マーチャンダイザーも兼ねて地域商品の開発に取り組んでいる。青果の導入部で展開する地場商品コーナーだけでなく、定番売場にも単品やメーカー単位で地域商品を挿し込んでいる。
大高会長は、「地域ごとに異なるライフスタイルや嗜好に対応するため、スーパーバイザーの仕事として商品開発のウェイトを高めた。合わせて教育も進めている。リージョナルチェーンという意識ではなく、商品開発では県ごとに別の会社というつもりで取り組む必要がある」としている。

イートイン「カジュアルレストラン」設置
イートインスペースに「カジュアルレストラン」の看板を掲げ、従来の休憩スペースよりも積極的に飲食シーンの提供に取り組む。隣接するベーカリーのカウンターは、午前11時から午後1時までの時間、ベーカリー以外の会計でも購入点数5点まで利用できる。同店を含む3店舗限定の実験で、オペレーションの検証を進める。
松崎社長はカジュアルレストランの運営について、「若い家族やシニアの夫婦など、便利に使っていただけるニーズはあると想定している。レジを稼働させる時間にどれだけ売上が立つかというだけでなく、イートインの利用が上がるかどうかを重視する。お客さまに便利と感じてもらえ、利用頻度が高まるのであれば続ける価値がある。そうでないなら、無理に続けることもない。この取り組みは、17年に予定される消費税の再増税を見越したものでもある。米国で同様のことがあったとき、私もイートインの使われ方の変化を目の当たりにした。だから3年ほど前から、レストラン構想を徐々に進めてきた」としている。
イートインスペースを休憩所から飲食スペースへと進化させる取り組みは、最近のSMに顕著な傾向だ。飲食の環境をどこまで整えるかは、各社で試行錯誤が続いている。大高会長は、小商圏の顧客が、軽食程度の利用に便利な環境を目指すという。
「ご近所のお客さまが、ちょっとした食事をするのに適した場所が必要であり、外食のように構えることはない。店内で扱うおいしいものがリーズナブルに楽しめる場所を考えていく。やり過ぎる必要はないが、当社はまだ中途半端な状態だ」(大高会長)


日刊流通ジャーナル2016年2月18日号より抜粋