食中酒にアルコール分6%の新機軸

サントリースピリッツの15年RTDカテゴリーは、前年比14%増と市場を上回る伸長率だった。原動力は食中酒として飲用機会が増えているウイスキーベースのハイボール缶や、高アルコール分のストロング系で、ハイボール缶はトータル20%増の872万ケース、ストロング系は「-196℃ストロングゼロ」が19%増の2750万ケースとなっている。
「ストロングゼロ」は、09年の発売から6年連続で売上を伸ばし続けている。昨年は定番フレーバーのアルコール分を9%に引き上げたことが好評で、2ケタ伸長につながった。今年は食との相性訴求に加え、糖類ゼロ、プリン体ゼロの機能性訴求に力を入れている。
RTD戦略は、16年も食中シーンの拡大を主要テーマと位置づけ、好調なブランドポートフォリオの中に新たな機軸を持った新ブランドを投入する。
新商品開発部の佐藤晃世部長は、「チューハイは酒類のメインシーンである食事中に飲むお酒として定着している。これをどこまで広げられるかが市場拡大のキーポイントだ」としている。
ビール類とRTDを併飲しているユーザーは増えているが、同社の調査によるとビール類のユーザーのうち、高アルコールを好む層は全体の39%にとどまるという。この39%の中で、RTDを併飲するユーザーは4年間で12P増え、51%となっている。
一方、ビール類ユーザーの6割を占める非高アルコール派は、RTDの併飲率に変化はなく34%にとどまる。食中酒として必ずしも高アルコールを望まない層に新たな提案をすることで、RTDの食中シーン拡大は可能とする。

極キレ
脂っこい食事との相性に特化
3月29日に「-196℃ 」ブランドの新シリーズとして投入する「極キレ」は、アルコール分を6%に設定する。食中酒としてアルコール分は高過ぎない度数とし、ベースリカーのウォッカに焼酎を加えることで味の厚みをつくり出す。味覚設計では脂っこい食事との相性に特化している。
商品開発研究部長の村上悦郎執行役員は、「食事の油をさっぱりさせるウーロン茶の機能に着目した。この効果を生むのはウーロン茶ポリフェノールで、油分を液の中に溶かし込み、洗い流してくれる。これを加えることで、さっぱりとした後口を実現する。さらにガス圧を高めに設定し、キレ・爽快さを高めた」という。
フレーバーは〈爽快ドライ〉、〈ドライレモン〉、〈ドライライム〉の3品を揃える。350ml缶のみの展開で、500mlは市場の反応をみて検討するという。
「-196℃ 」のシリーズとして展開するが、主力の「ストロングゼロ」とは別々のプロモーションを基本とする。瞬間凍結した果実をウォッカに浸漬する製法は共通だが、ターゲットとするユーザー層が異なるためだ。
佐藤部長は、「どちらも男性ユーザーがメインになるとみているが、ストロングゼロは40~50代が中心であるのに対し、極キレはもう少し若めとみている。両商品はアルコール分が違うため、ブランド間の流出入は限定的とみている。店頭展開も基本的にそれぞれで行うが、企画によっては合同キャンペーンもある」としている。
「極キレ」の販売目標は280万ケースと設定する。「-196℃」全体では17%増の3430万ケースを目指す。
週刊流通ジャーナル2016年2月15日号より