千葉 佐倉に新物流センターと精肉PC開設
カスミ(藤田元宏社長)は、今期からの「新中期3ヵ年計画」で、人時生産性の向上をめざしてオペレーション改革に取り組む。今年4月には千葉県佐倉市に新しい物流センターを稼働させ、続いて9月には同センター2階に新精肉PCも開設する。こうしたインフラ整備と同時に、生鮮、惣菜を中心とするMD改革にも引き続き力を入れる。出店は、年間11店、3カ年で33~35店とさらにペースを上げる。

今期から始まる「新中期3ヵ年計画」では、オペレーション改革を推進し、人時生産性のさらなる向上をめざす。またMD改革にも前期に続き力を入れる。
このためのインフラ整備では4月、千葉県佐倉市に新物流センターを稼働させる。同社は現在、茨城県かすみがうら市、同桜川市の2ヵ所で物流センターを稼働させているが、千葉県内では初めてとなる。
さらに9月には新物流センターの2階部分に精肉の新PCを開設する。同社はかねてより精肉を100%PC化しており、茨城県土浦市の精肉PCから全て供給している。新PCの稼働で従来のPCに生産余力が出来ることから、たれ付、味付けといった半調理品のSKUを拡大する。新PCでもこうした半調理品を稼働当初から生産する。
「新物流センターは当初、千葉エリアの25店をカバーすることからスタートする。設備能力としては75店までカバーできるようにしており、順次店数を増やしていく。このほか同DCには新しいリサイクルセンターも併設する」(同社長)としている。
MD改革にも継続して挑戦
一方、惣菜は子会社「ローズコーポレーション」(茨城県土浦市)が、米飯、弁当などを中心に生産している。今後は、同社のレシピを基に、千葉エリアの店舗については、同県内の専門業者に委託生産させる。商品によっては、全店規模で扱う可能性もある。これによりローズコーポレーションは炊飯機能に特化する方針だ。
「ここ数年、1時間当たりの人件費が上昇し続けている。最低賃金法や、採用難に伴って時給が上昇している。そして今年10月からのパート従業員の厚生年金適用拡大など、コストアップ要因が重なっている。
新中期3ヵ年計画における最大の課題は、人時生産性の向上をめざすオペレーション改革の推進である。前述の物流インフラの整備もこの一環だ。またかねてから進めているトヨタカンバン方式をモデルとした『カイゼン運動』も、プロジェクトチームを増員して強化する。
なお店内オペレーション改革については前期、ディスカウント業態の『フードオフストッカー』で効果を上げた。現在、この業態は26店で、2年前から野菜とドライグローサリーに専任バイヤーを配置するなど体制を入れ換えて黒字化している」(同社長)という。
MD改革については、青果部門で、パック詰めの簡便野菜のSKUが一挙に増えている。子会社「カスミグリーン」や、有力メーカーが生産するパック野菜は、生ゴミを発生させないことも消費者に支持され、売場の尺数が大幅に広がっている。
精肉では、豚肉で茨城県産の銘柄豚の取り組みを強化している。当初は10店程度に供給できるだけだったが、現在は50店規模にまで生産力を高めている。鮮魚では、店内加工を担う従業員の研修に力を入れている。このため各店を巡回して指導するトレーナーを2年前から配置している。前期は、青果、鮮魚、惣菜、レジの4部門で5000人を教育した。今期は8000人を目標に研修に力を入れる。
日刊流通ジャーナル2016年3月29日号より抜粋