
定番の品質向上プラス話題喚起で世代を超えた商品に
ローソン(玉塚元一社長)のカウンターフーズ「からあげクン」は、15日で発売30周年を迎える。同シリーズは年間およそ320億円を販売する大型商品で、通年フレーバー3品は同社の全オリジナル商品における売上トップ5にランクインする。竹増貞信副社長は、「定番品の品質改善を続ける一方、限定フレーバーや販促でお客さまの興味を刺激し、ユーザー層を広げてきた。30年間ブランドへの関心を維持してきたことで、子供の頃に食べていた世代が親となり、その子供にも食べさせる商品になった」と語る。
からあげクンは鶏のムネ肉を使用し、発売当初の5個入・本体価格200円を現在まで維持している。鶏のムネ肉はヘルシー志向の高まりで世界的に需要が伸びているが、からあげクンの開発当時は安価で確保しやすい原材料であったことも選択の要因となった。販売数量の拡大によって原材料コストの上昇を抑制し、一貫して国産原料・国内製造で商品化している。2010年から売上増が続き、15年度は過去最高の1億6000万食を販売した。
開発当時のターゲットは、女子高生を中心とする若年層だった。発売から数年間は「レギュラー」1品での展開だったが、スパイシーな「レッド」を加えることでおつまみ需要の開拓が進んだ。さらに「北海道チーズ」が加わり、前述のように売上ランク上位を占めている。
商品本部長の和田祐一上級執行役員は、「定番品は原材料や製法の見直しによって肉質やジューシー感を向上させてきた。店舗でのオペレーションも当初は手作業のためバラつきが多かったが、フライヤーをフルオートにするなどの仕組みを整えることで安定するようになった。定番以外の第4フレーバーは、コラボ企画や地産地消・他消といった地域との取り組みで商品化し、ユーザーとリピートを増やしてきた」としている。
月に1〜2品の新商品を投入し、累計フレーバーは165種類となっている。また、03年から鶏のキャラクターを使用し、ブランドの世界観を確立した。発売当時は女子高生を起用したCMを展開したが、現在はネットを中心に情報発信し、からあげクンの固定ファンを増やしている。
「からあげクンの成功要因である定番の品質追求、トレンドを反映した商品づくり、独自の世界観といった3つの要素は、おにぎりやデザートなど、その後のさまざまなブランド育成に活かされてきた」(和田本部長)
日刊流通ジャーナル2016年4月7日号より抜粋