来期 創業50周年、1号店を全面建替
フジ(尾﨑英雄社長)は来年10月、創業50周年を迎える。それを機に同社の創業店である「フジグラン北宇和島」(愛媛県宇和島市)を全面建替オープンする。前期はSM3店を新設したが、今期もSM3店の新設が確定している。今後もSMの単独出店ないし、SMを核として持分適用会社の「レデイ薬局」を併設したNSCでの出店を計画している。当面、GMSを開設する計画はない。

来期はフジが創業して50周年となる。その創業店である「フジグラン北宇和島店」は、1967年の開店で老朽化が進んでいる。南海トラフ地震が発生すれば倒壊の危険性が高いため、全面的に建て替える。
なお津波が発生することを想定した防水壁を、前述のフジ八幡浜店に続いて設置する予定だ。
「松山市内や広島市内のほか、広島県内の主要都市などにはまだ出店余地がある。当社は現在、97店を展開しているが、これを今後毎年7~8店ペースで出店し、倍増させたい。それと同時に既存店の活性化にも力を入れる」(同社長)という。
さらに道の駅を参考にした新業態、産直市場「エフ・マルシェ」は2012年11月、松山市内に農産物を中心とした1号店「エフ・マルシェ古川店」をオープンしている。今年3月には隣接してレデイ薬局が出店し、相乗効果で好調に推移している。
2014年4月には、海産物を中心とした2号店「瀬戸内海響市場エフ・マルシェ」(同市)を地元SM撤退跡地にオープンした。
「エフ・マルシェは、松山市内にもう1、2店開設したい。これからは単独ではなく、SMとの併設かNSCへの出店を考えている。また今後、広島市内にも開設したい。農家との直接取引は400軒規模でスタートしたが、現在は800軒と倍増しており、安定的に農産物が供給されるようになった。これからは、売れ残りを農家が回収するのではなく、夕方までに当社が責任を持って売り切る商売に切り換えていく」(同社長)という。
レデイ薬局、ツルハグループ入りの真意
M&Aについては2014年9月、松山市内でこだわり商品を主力とする小型SM5店を展開する「エービーシー」から営業権を譲り受け、フジマート四国として営業を開始した。
「我々としては、できるだけM&Aを仕掛ける側に回りたいが、今後は仕掛けられる場合も出てくるだろう。仕掛けられたM&Aが、当社の将来にとって良いことであれば、決断する場合も起こり得る」(同社長)としている。
なおレデイ薬局は現在、「ツルハホールディングス」(堀川政司社長)が51%、フジが49%の株式を保有している。ツルハグループの連結対象子会社になった経緯について尾﨑社長は、「当社の子会社だった『メディコ21』とレデイ薬局は、お互いライバル同士の関係だったが、その間隙をぬって同業他社が相次いで進出した。このままでは成長は難しいとの危機感をお互いが持ったことで、レデイ薬局を存続会社として経営統合することにした。
だが統合しても売上高が600億円に満たない状況では、規模の経済が働きやすいドラッグストア業界では今後の成長は難しいと判断した。そこで品揃え、店づくりなどドラッグストアとしての考え方が近いツルハと話し合い、ツルハがTOBでレデイ薬局の株式を取得して2015年10月に連結子会社化した。
レデイ薬局の社長には、引き続き三橋信也社長が就任し、副社長にはツルハから村上誠氏が管理本部長兼務で出向している。
村上副社長は、ツルハグループの旧ウェルネス湖北(現ツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本)の村上正一社長の実弟で、大手商社勤務を経て昨年11月にレデイ薬局に出向している。レデイ薬局としては得難い人材を得たわけで、さらなる成長をめざす。レデイ薬局の出店意欲は旺盛で、年間10店以上のペースを計画している」と語っている。
日刊流通ジャーナル2016年4月4日号より抜粋