カテゴリーごとに強化ポイントを明確化
サークルKサンクス(竹内修一社長)は昨年来、顧客ニーズの調査を踏まえた中食の強化を進めている。15年度下期はデザート、おにぎり、調理パン、カウンターフーズなどが好調だった。16年度上期はこれらカテゴリーに新商品を投入するほか、パンや焼鳥で定番品のブラッシュアップに取り組む。9月のファミリーマートとの経営統合を控え、サークルKサンクスの集大成として商品力の底上げを目指す。

15年度は、グループインタビューやウェブ調査などで利用客のニーズを掘り下げた。調査を踏まえた商品開発は下期から本格化し、デザートの「シェリエドルチェ」は、全面刷新した11月以降、前年比およそ15%増で推移した。おにぎりは具材の量を増やした「具材たっぷり!シーチキンマヨ」がヒット商品となり、第4四半期はカテゴリー全体が前年をクリアしている。また、女性バイヤーが担当するサンドイッチは、下期に4.5%増と伸長した。
商品本部長の伊藤徹取締役は、「お客さま調査によって、改めて中食がコンビニの生命線であることを確認した。ただ、15年度は期初にファミリーマートとの統合話が出ていたので、ベンダーとは設備投資のかかる商品開発をしづらい状況だった。既存の設備を活用するという制約の中で何ができるかを考えたことで、かえってさまざまな知恵が出るようになった」と語る。
15年度は、新商品の数を前期に比べ77%に絞り込んだ。商品・販促の両面で競争力のある単品を追求した結果、前述のおにぎりや、デザートでは「濃厚焼きチーズタルト」のようなヒット商品が生まれた。チーズタルトは3月末の累計で1000万個を販売している。下期は中食トータルで前年をクリアし、単品の強化によって値入率の改善も進んだ。
「チーズタルトは有職女性を取り込むプロジェクトの成果で、新規客層の獲得につながった。品薄の状態が続いたので、供給量を2倍に増やした。5月にはシリーズの新商品も予定している」(伊藤取締役)
ベンダー工場間のバラつき解消へ
中食強化の一環で、ベンダーによる品質のバラつきを是正するため、仕様書や品質基準の見直しを進めてきた。今期は新商品の発売に合わせ、地区商品部の担当者が工場に出向いて製造工程をチェックしている。
「製造設備は変えられなくても、盛り付けの見た目を良くしたり、手間をかけることで商品価値を高めることができる。パスタソースを内製化するなど、ベンダーの協力を得て品質を高める工夫をしている」(同)
製造工程の品質管理を従来よりも厳密に行うと同時に、15年度下期の成果を踏まえた新商品を投入していく。おにぎりは、「具材たっぷり」をシリーズ化する。調理パンでもサンドイッチの定番品で具材比率を高めた商品をシリーズ化していく。
弁当は、付加価値商品「味彩」シリーズで旬の打ち出しを強化する。3月に発売した「陽春味めぐり幕の内御前」を皮切りに、季節感のある商品を順次、展開していく。「女性をターゲットにした弁当は、おかずが豊富にあることが重要だ。味彩シリーズで女性を取り込み、従来からの定番弁当は男性のニーズを満たしていく」(同)
日刊流通ジャーナル2016年4月5日号より抜粋