新中期経営計画でインフラ整備を終え商品改革へ
いなげや(成瀬直人社長)は6月、東京都武蔵村山市に精肉PCと惣菜センターを稼働させる。情報システムの刷新も進めており、16年度が投資のピークとなる。これによってインフラ整備を終え、16年度からの中期2カ年の経営計画で、いっそうの商品力強化に取り組む。前の中期経営計画で取り組んできた惣菜プラス生鮮強化の店づくりをブラッシュアップする。新しいインフラを活用し、調理・加工の強化にとどまらず、素材の調達にまで踏み込み、商品自体を変えていく。

6月に稼働する惣菜センターは当初、グループの高質SM、三浦屋の商品を製造する。1年ほどの期間をかけ、いなげやの既存のセンターを含め、グループとしての効率的な活用を検討する。
八丸良久取締役経営企画室長は、「いま惣菜強化に取り組んでいるが、再度、組み立て直すぐらいの覚悟で取り組む」という。
15年度までの中期経営計画は既存店が好調だったことで、売上・利益とも目標を達成する見通しだ。年間60店の改装による既存店の強化が奏功し、グループ売上高は260億円ほど増えそうだ。
「前の中期経営計画がスタートして1年半ほど、売上は計画を上回った。ただ後半の半年ほどは、景気の減速もあって、計画を下回る店が出てきた。商品をしっかり、見極めていかなければならない。だからこそ、もう一度、商品を見つめ直して、新しい中期経営計画の中で、乗り越えていきたい」(八丸取締役)
売上アップは惣菜プラス生鮮の強化を柱とした改装の効果が大きかった。それを集大成し、次世代型の店づくりにチャレンジしたのが、昨年後半にオープンしたブルーミングブルーミーららぽーと立川立飛店(立川市、679坪)と新ゆりヨネッティー王禅寺前店(川崎市麻生区、620坪)である。
「次のステップに進む実験的な店舗で、惣菜のバラ売りや健康を意識した商品の充実、カットフルーツの店内加工などに取り組んでいる。ここをスタートに、もっと強化していかなければならない。
16年度以降も年60店ペースの改装を進めるが、2巡目、3巡目の店もあり、次世代型店舗のエッセンスを取り入れながら、惣菜プラス生鮮の強化を極める。商品そのものをどう磨いていくか、いかに新しい商品をつくっていくかということが課題になる。商品の調達にまで踏み込み、新しくすることもあるし、日本全国を歩き回って、もっとおいしいものを探すということにも取り組まなければならない。聖域を設けず、あらゆる方向でチャレンジしていく」(八丸取締役)
調達に踏み込むことに加え、商品企画力、物流能力、品質管理の労力なども高めていく。こうした一連の取り組みによって、生鮮、惣菜、和日配の売上構成比は確実に60%を超える見通しである。特に惣菜は原料の見直しで、ほかの部門と連携した仕入などを検討する。
センター稼働、システム投資で、15~16年度が設備投資のピークとなる。また生鮮・惣菜の強化を徹底するうえで、人事教育も見直す。高品質の素材を使った調理、メニューやそれに合った調味料まで説明できる人材が必要になる。
日刊流通ジャーナル2016年4月7日号より抜粋