デリカ、ベーカリー 2020年に売上構成比30%へ
阪食(河村隆一社長)は高質食品専門館のコンセプトで1号店の千里中央店(大阪府豊中市)を開設して7年目を迎える。店舗の内外装およびMDの改廃を続け、昨年11月から12月にかけ最新型の箕面船場店(大阪府箕面市)、甲陽園店(兵庫県西宮市)を開設した。ライフスタイルの変化に合わせ、2020年に生鮮部門で加工するサラダ、寿司などを含めデリカとベーカリーの構成比を30%に高める。またネットが普及する中、海外からの調達を含め、グローサリーの独自商品を開発する。MD、店づくりが、さらに進化する見通しだ。

高質食品専門館を志向した08年当時、デリカとベーカリーの標準的な構成比は10%程度だった。30%に高める背景について、商品本部長兼事業開発部長の松元努取締役専務執行役員は次のように語っている。
「デリカとベーカリーの構成比が10%程度だったころ、これからの時代を考えると20%ぐらいにもっていかなければならないと考えた。鮮魚で寿司や焼魚、ミートデリなどを強化し6年が経過した14年には、プロトタイプの店では20%ぐらいになってきた。当時はそれでよかったが次の6年では30%を目指さなければならないと社内でいい始めた。
いま30%を意識した取り組みを進めている。その最新鋭の店舗が箕面船場店であり、生鮮3部門とデリカで60%を超えている。デリカとベーカリーで、従来のプロトタイプより5Pほど上乗せされた」
30%に乗せることで、SMから食品産業への脱皮を図る。同時に、グローサリーもオリジナリティを打ち出していく。阪急オアシスのロイヤルカスタマーであっても、同じNBであれば、ディスカウンターをはじめ低価格の業態にシフトしているほか、ネットで合理的に購入する傾向がみられるという。
「価格を安くするか、無料で届けるのではなく、ここにしかないものを開発し、お客さまに来店してもらう理由をつくらないと、この先、生き残っていけない。さらに生鮮について、素材と食事MDを横串で通して、どういう風に利益商材にしていくかということが求められる」(松元取締役)
新しい食の提案で、最新の2店ではキッチンステージで、ナチュラルチーズ、生ハム、オリーブの推奨に取り組んでいる。パートタイマーが商品知識を修得し、新しい機能を果たしている。
生鮮MDは食事、メニューを切り口に
生鮮は鮮度、値ごろ感に加え、食事、メニューを切り口としたMDを取り入れようとしている。2年ほど前から女性を中心としたチームを編成し、国内外でさまざまな情報を収集し、メーカーの女性チームと合同でメニューの研究などに取り組んでいる。
生鮮各部門にはサラダ、寿司などを開発する女性の担当バイヤーを配置している。素材を調達するバイヤーと連携し、メニューの視点でもバイイングを行っている。メニュー軸が加わることで、素材として売りにくいものまで、一括で仕入れることで原価を低減できる。海外からの調達でボリュームの大きいマグロは刺身で売るだけでなく、寿司、丼などメニューの視点が加わる。また米国西海岸から果実を調達しているが、女性バイヤーが参画することで、カットフルーツの品揃えが広がる。ブルーベリー、ラズベリーなどを取り入れ、売場が華やかになる。前述のように、この女性バイヤーのチームによって、メーカーと合同でメニューの研究・開発に取り組んでいる。
「デリカ、ベーカリーの構成比が10%から20%に高める時、鮮魚の寿司やミートデリなど新しいカテゴリーをつくり、足し算で増やすことができた。これから30%に向け、足し算は通用しない。国内外の外食やデパ地下など、新しいマーケットをつくっていかなければならない」(同)
日刊流通ジャーナル2016年4月6日号より抜粋