平和堂(夏原平和社長)は15年度からスタートした中期3カ年計画で、企業ブランドの再構築に取り組んでいる。食品は改装を通して、顧客の支持が高まり、さらに進化させていく。大型店のアル・プラザで衣料品、住居関連品の復活が課題となっている中、化粧品を中心に若い女性をターゲットとしたショップや女性バイヤーを中心にした雑貨の専門店の開発など一部、成果が現れている。さらに、大型店でターゲットや生活シーンに合わせ、衣料品・住居関連品の一体型の店づくりを実験している。
食品は15年度から定期的な改装を開始した。10年ごとに大規模改装、5年ごとに小規模改装を実施することを基本とする。大規模改装は冷ケースの入れ換えなども含め、投資が億単位になるものもあるが、小規模改装は1000~2000万円程度を目安にしている。最新の店づくりを水平展開している状況だ。
衣料、住関連の復活が大きな課題となっている中、各事業部、課別の縦割りで取り組むのではなく、衣料品・住関連品として一体となってライフスタイルを提案していく。それを進めるため、昨年9月、衣住統括を設置した。先行して、生鮮と加工食品を一体化して食品統括を設置し、食品フロア全体の活性化が図られた。
住関連は日用品について値ごろ感を打ち出す一方、上質品、ワンランク上の商品をライフスタイル提案でみえる形にすることに取り組んでいる。
15年度の概況について、平松正嗣専務取締役営業統括本部長は次のように語っている。
「食品は改装によって、計画通りに伸びた。大規模改装した店舗は2ケタ伸長している。生鮮強化がポイントになるが、人手不足の中でバランスをとることが大きな課題となっている。その意味で一昨年5月に竣工した多賀町(滋賀県犬山郡)のPCが本格稼働し、着実に生産量が拡大している。
元々、本部の近郊にあったセンターが全店の塩干商品および店内精肉加工が無理な滋賀県内の小型店をメインに供給していた。老朽化で新しい立地に最新設備のセンターを立ち上げ、刺身や生食用肉類の取り組み等、鮮魚、精肉ともアイテムが広がっている。また大型店へも祭りや年末年始などの需要期や改装期間の店内加工不足への対応をセンターでフォローしている。2年後をめどに、京阪地区にもプロセスセンターを稼働させたい」
最新店舗のMDとして青果はマルシェを切り口に、1年を通じてのバナナ、トマトに加え、きのこ、なすなど、旬の素材の品群を充実させ、季節感をアピールしている。精肉は生食、ミートデリなど、品揃えを増やしている。鮮魚は魚種を増やすと同時に、積極的に対面調理コーナーを取り入れている。デリカも対面売場や品種を増やすことで、魅力度を高めた。
「PCでフォローしても人手不足の問題は解消できないが、部分的に改善を進め、この1年で鮮度と改装の流れを維持できるようになった。5年前から年2回、アメリカ研修を実施し、毎回30~40人を派遣し、その成果が現れている。これまで400人以上が研修に参加し、ダイナミックな売場づくりをみて、食に携わる全員が売場づくりの考え方を共有できるようになったことも改装の効果だけでなく、既存の売場の活性化につながった」(平松専務)
日刊流通ジャーナル2016年4月14日号より抜粋