イオン(岡田元也社長)は、水産物の調達において持続可能性を重視する方針のもと、国際的な認証機関であるASCやMSCの認証を取得した水産物を積極的に導入している。イオンリテールの取り扱いでは持続可能な養殖水産物を対象とするASC認証が5魚種・10品目、漁業全般を対象とするMSC認証が15魚種・33品目となっている。

PB「トップバリュ」の開発段階でも持続可能性の観点から調達先を精査しており、既存のPB商品がASCやMSCの認証を取得するケースもある。
15日に発売した「asc認証チリ産銀鮭」は、トップバリュ商品が新たにASC認証を受けたケースの1つだ。
イオンリテール食品商品企画本部水産企画部の松本金蔵部長は、「銀鮭は食品部門トータルでもトップ10に入るほど購入頻度が高い。この売れ筋で環境にいい商品を実現できたことが重要だ。もちろん商品は美味しいことがベースであり、同商品では鮭の塩分を均一にする加工技術を取り入れ、ムラのない味わいに仕上げた。ASC認証を受けると仕入段階では認証フィーも発生するが、今回は直輸入するなど物流過程を見直すことで吸収し、売価は据え置いた」としている。
イオンリテールは、2020年までにASC、MSC認証品の売上を水産部門の10%に引き上げる方針だ。両認証とも一般消費者の認知が高いわけではなく、売場での情報発信を通じて認知を広げていく必要がある。
首都圏を中心とする15店舗には、ASC、MSC認証品をコーナー化した「フィッシュバトン」を設置している。両認証で合計20魚種・43品目を季節に合わせて展開する。同コーナーは2020年までに100店舗に拡大する。
「商品調達は戦略的に進めており、仕入先が認証を受ける前から関係を作るようにしている。フィッシュバトンは、新店には確実に導入する。既存店は水産部門の規模や設備が店ごとに異なるため、改装などをきっかけに広げていく。単に売場を設けるだけでなく、年間を通して維持することが重要なので、売場のコンセプトに対する担当者の理解を深めていく必要もある」(松本部長)
日刊流通ジャーナル2016年4月20日号より抜粋