
01年オープンの月島店は、東京メトロ・月島駅から徒歩5分の商店街に位置する。商圏500mに約9700世帯・1万9000人が居住し、マンションの建設などで人口の増加が続いている。
直近も売上は堅調に推移していたものの、商圏内に多い30〜40代の取り込みが課題となっていた。また、惣菜を優先して売場を構成した結果、水産が極端に弱くなっていた。改装ではバックヤードの一部を潰して売場面積をやや広げ、水産部門の強化によって生鮮・惣菜のバランスを適正化した。各階の売場構成に大きな変更はなく、1階が生鮮・惣菜と日配、2階がグローサリーと生活用品となっている。
水産の売場は改装前の3倍強に拡大し、アイテム数は1.7倍に増やした。塩干や冷凍品、煮魚・焼き魚の真空パックなどで簡便商材を充実した。また、刺身はアルティフーズの川崎営業所から供給する。マグロやサーモン、タコなど、MAP包装(ガス置換)技術によるロングライフ容器を使った15アイテムを導入した。ロングライフ化を実現する同技術の拡大を進めており、6月には精肉の挽肉にも広げる。
水産を中心に生鮮を強化する一方、惣菜の売場は改装前に比べ15%ほど縮小した。ただ、店舗の中核部門であることに変わりはなく、弁当やフライ関連を通路を使ってコーナー展開するなど、十分なスペースを割いた。量目を抑えた丼シリーズ「Choco丼」や、サラダとご飯を混ぜて食べることを提案する「サラダ×ライス」シリーズなど、健康や女性ニーズを意識した最新のMDを導入している。惣菜部門は改装前、品揃えの7割をインストアで商品化していた。改装後は握り寿司などをアウトソーシングし、インストア比率を5割程度に下げている。
日配のケースは、棚数を6段から7段に増やした。下段に並べる商品のフェイスを確保することが目的で、棚数が増えたことによる作業効率は今後、検証していく。また、レジのそばにコーヒーマシンを設置し、1杯100円で提供する。
関東事業本部長の貴田朗(きだ・あきら)取締役執行役員は、「アウトパック比率を増やしたことで最終的には人件費比率を下げたいが、初年度は必要な人時を投入し、現在の売場を維持することを優先する」としている。

ワインの品揃えや上質品を拡充
2階の導入部にはリカー売場を配置した。改装前に比べ1.2倍に拡大し、とりわけワインを充実させた。ワインのMDは、「肉のダイエー」を掲げてきたこれまでの施策を踏まえ、肉料理との関連提案を強化している。4月末に発売したオリジナルワイン「29(トゥエンティナイン)」(本体価格980円)は、肉専用ワインと位置づけて訴求する。サントリーワインインターナショナルが輸入したもので、南アフリカ共和国産のカベルネソーヴィニヨン種を使用している。
リカー売場の最奥部に、約60アイテムのナチュラルチーズや生ハムなどを集めた「チーズライフ」をコーナー化した。商品個々にコーナーのロゴをデザインしたシールを貼付していた。
グローサリーは、所得層が高めの商圏特性に対応し、上質品を増やした。周辺はインバウンド需要も見込めるエリアで、カテゴリーを示す棚の掲示には中国語・韓国語を併記している。ただ、同店固有の対応ではなく、首都圏の都心立地では標準化しつつあるという。
また、改装前から生活用品のニーズが高いため、ノンフードは売場を縮小するなかでも、カテゴリーの欠落が生じないよう配慮した。水産部門の拡大もあり、総アイテム数は改装前の6700SKUから7000SKUに増加している。


日刊流通ジャーナル2016年6月1日号より抜粋