
イオンタウン(大門淳社長)は10日、千葉県佐倉市にイオンタウンユーカリが丘を開設した。総賃貸面積5万1850㎡(1万5684坪)と同社最大規模のSCで、テナント148店を集積する。核店舗のGMSは、3階をベビー・キッズに特化した大型専門店「キッズリパブリック」として展開する。1階の食品フロアは、イートインスペースを集中レジ内に配置した。従来よりも売場とイートインを近接させ、購入してすぐに食べる利用スタイルの促進を図る。


核店舗のイオンスタイルストアは売場面積4295坪で、旧店に比べ1.5倍に広がった。フロア構成は3階がキッズ、2階が衣料・住関連、1階が食品で構成する。手芸やリカー、HBC、サイクルなど、モールゾーンにスピンオフしたカテゴリーも多い。
SC全体で3世代対応を追求するなか、イオンリテールは旧店で取り込みが弱かった30〜40代の獲得に向け機能を再構築した。押田一彦店長は、92年のサティ開設時のメンバーだ。
イオンリテールの岡崎双一社長は、「地域のマーケットに合わせた売場づくりがイオンスタイルストアであり、従来のチェーンストア理論と異なるところだ。その意味で、商圏を熟知した押田店長は適任者であり、改めて商圏を徹底調査して地域のお客さまに満足していただける店を目指した」という。
押田店長は、「旧サティのオープンから徐々に競合が増え、売上は減少傾向だった。3世代に満足していただける店を目指し、取り込みが弱くなっていた30〜40代ファミリーへの対応を強化した。そういったねらいのもと、3階にキッズリパブリックを展開し、1階は家族で利用しやすいようにイートインスペースを充実させた。SC全体の商圏は20分と設定するが、GMSはその中でも10分圏内・約16万人の来店頻度を上げることが重要だ」と語る。
キッズリパブリック ヘルスケアを加えた総合提案
キッズリパブリックは、ベビー・キッズ向けの物販・サービス機能を集積した1270坪の大型専門店だ。マタニティから児童までの衣料品や、ベビーカーその他の育児用品、絵本や玩具、テレビゲーム、キッズ向けスポーツ用品などの物販に、室内遊園地などのアミューズメント施設のほか、機能を充実させたベビールームも備える。
母親と乳幼児向けのケアコーナーには登録販売者が常駐し、「こどものおくすり」や「産前産後のママのケア」、「冷え取りあっため」といったカテゴリー分けで医薬品やケア用品を揃える。また、売場の一角に肌年齢計や血管年齢計、ストレス計を設置し、さまざまな健康意識を喚起する。

イートイン席をレジ内に配置
生鮮・惣菜は見せる演出を徹底
食品フロアの新しい試みとして、70席分のイートインスペースを集中レジ内に配置した。これまでもイートインスペースは拡大する傾向にあったが、レジ外に設置していたため売場との距離があった。同店ではデリカ売場に隣接した位置にイートイン席を設け、レジカウンターを設置して商品の購入やコーヒーを購入できるようにした。また、対面形式のアイスバーも配置している。そのほか店内で販売する冷凍食品も食べられるよう、業務用の電子レンジを3台備えている。このスペースとは別に、デリカ導入部に配置したピザ売場の前面にもイートイン席を設け、ベーカリーショップにも同様にイートイン席がある。
生鮮・デリカ部門の壁面は、ライブ感の演出をねらう最近の傾向を踏襲し、シースルー化されている。ただ、これまで以上に開放感を打ち出すため、ほぼ天井までガラス張りになっている。
「単にガラス張りにするだけでなく、これまで以上に手元がよく見えるようにした。また、すっきりとした印象になるよう、作業場の備品類が見えないようにしている。各部門のイメージに合わせ、制服も変えている」(押田店長)
鮮魚を捌く様子や寿司をつくる工程、直火による肉のグリルや炭火で焼き鳥を焼く工程は売場から手元の様子まで確認できる。ピザはオーダーしたものが生地を伸ばす工程から見ることができる。
対面形式の多さも同店の特徴で、前述のアイスバーのほか、農産にはコールドプレスジュース専門店「デポ デ サンテ」を配置し、約10種類のジュースを提供する。同コーナーに隣接してカットフルーツコーナーを展開する。デリカの量り売りコーナー「リワードキッチン」は、従来のセルフ方式ではなく対面形式を採用した。

日刊流通ジャーナル2016年6月15日号より抜粋