マルエツ(上田真社長)は首都圏エリアで人件費、家賃など、あらゆるコストが上昇する中、これを吸収するための仕組みづくりに取り組む。上田社長は「人時コストの上昇に将来、業界自体が成り立たなくなってしまうほどの危機感をもっている」と語る。デリカセンターを検討するほか、省力化のシステム投資、オペレーションの効率化などを進める。17年度に3年目を迎えるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスはブランド価値を高めるためのPB開発を検討している。
――以下は上田社長の発言要旨である。
17年秋に当社のMDを集大成した500坪の新型店舗を開設する。16年3月に新しい店づくりプロジェクトを組成し、検討を続けてきた。17年度は500坪型3店を含め、2ケタの出店を目標としている。新しい店づくりを含め、500坪型3店でいろんなチャレンジをしたい。実際にやってみないと分からないことが多いが、いろいろな検証を行っても、お客さまに支持されなければ意味がない。そういう意味で、現地のお客さまの評価がわれわれの通信簿だと考えている。
いろいろな考えで店づくりに取り組んでいるが、エリアによっては通用しないものもある。なぎさモール辻堂店(神奈川県藤沢市)で地場商品を集合陳列したところ、好評だった。これを埼玉エリアでやっても、支持されないと思う。Aパターン、BパターンからZまで複数の引き出しをもって、臨機応変に対応する必要がある。地域によっては、AとFの組み合わせということも出てくるだろう。
他社の事例からもいくつかパターンが見えており、いいところを組み合わせた新しい展開があってもいい。ただ当社は縦割の壁があり、この部分が弱い。商品部や部門という領域が、SMとしてもっと臨機応変に対応することが必要だ。一定の秩序のもとで縦割の壁が破れると、いままでと違う提案がでてくる。セカンドベスト、ストロングセカンドでもかまわない。他社を参考にしてやる以上は、仮に二番煎じといわれようが、一番最初にやられている他社を越えるようなセカンドにならなければならない。
店づくりでエリアや個店の特性を把握するうえで、IDPOSなどのデータをみて考える風土ができてきた。商品各部、店が意識し始め、多分プラスアルファとなって現れている。SMは競合が出ても昨対90を割ることはほとんどない。新しいトレンドさえうまく取り入れれば95までいく。既存店前年比という意味でも、ここに何か加えないと中々100は維持できない。105まで伸ばそうというと、さらに加えなければならない。個店対応という要素は本当に1%か2%だ。これが100でとどまるか、102までいけるかの差だと思う。全社からみればちっぽけな単品だが、これを積み上げ、集大成した総和の1%、2%は大変、重要だと思う。
日刊流通ジャーナル2017年1月6日号より抜粋