東急ストア(須田清社長)は今期も既存店が堅調に推移している。人の採用、教育、働く環境づくりに加え、物流センターなどロジスティクスの見直しによって、店内作業の改善、業務の効率化に取り組んできた。これから社会保険の加入拡大、時給アップなど、コストアップが避けられない状況にある。安定した収益を確保するうえで、17年度は働き方改革を重点テーマに掲げる。社員の意識を変え、本来の業務を遂行することがポイントとなる。
――以下は須田社長の発言要旨である。
当社は2012年11月に既存店が上向き始めた。消費税増税の反動があった14年4月を除き、4年間、既存店は成長を続けている。一番大きいのは人を投入したことだ。数、質を含め、うまく採用して売場がきちんと回るようになってきた。混雑していてもレジが開けられない、品切れしても補充する人がいないということがなくなり、きちんと対応できるようにした。それでも十分ではない。特定の店舗、部門、時間帯のマンアワーが不足している。
同時に、店舗の作業負担を軽減するため、物流センター、プロセスセンター、サテライトキッチン、デリカセンターを効率的に稼働させている。物流は店舗の使い勝手がいいように変えてきた経緯があり、かなり省力化、効率化が図られている。大型の台車に商品を積むのではなく、店舗の作業を考え、パートタイマーがきちんと移動できる形、重さにしなければならない。そうして台車、納品形態などを変え、店舗作業を軽減するマテハンの改善を図ってきた。これに合わせ、納品に際して店舗スタッフの仕分けスキルも向上した。
この下期から販売計画支援システムを導入している。中々、店舗で販売計画を策定できないし、計画をPDCAで回しづらかった部分もあり、発注から結果の集計まで簡単にできるようにシステム対応した。これによって、ひとつの企画で売上と利益が分かるようにした。また最近はカテゴリー単位の割引セールが増え、売場が乱れがちになる。それに対応し、カテゴリー割引の発注支援システムを開発した。これによって、カテゴリー割引のセール中のほか、終わった後の売場の乱れが大部少なくなった。
2016年は創業60周年の年で、DVDを制作し、東急ストアが目指す姿を経営理念として全従業員に分かりやすく伝えた。元々、社是に共存共栄という言葉があった。言葉自体は社内に浸透しているが、具体的に仕事に結びついていなかったので、指針として出した。
16年度の新店は8月にフードステーション用賀店(東京都世田谷区、72坪)を開設した。SMにコンビニエンスストアの機能を付加した新タイプの小型店としては14年4月にオープンしたフードステーション中延店(品川区、56坪)に次ぐ2店目となった。2店とも好調に推移している。小型店ながらコンビニエンスストア、SMの両方のお客さまを取り込むことができた。コンビニエンスストアをつくるつもりはなく、小型店ながら毎日の食生活で必要な食品が揃い、コンビニエンスストアのサービスレベルを付加するような形ではじめた。
日刊流通ジャーナル2017年1月10日号より抜粋