平和堂(夏原平和社長)は今年3月1日、創業60周年を迎える。かねてより建設を進めていた新本部も竣工させて3月から本格業務を開始する。この意味で新年度となる2017年度は「新しい出発の年」と位置付け、次の70周年、さらに100周年に向けて、新たな成長基盤の構築をめざす。2010年度から進めているフレンドマートタイプのSMの新規出店は2店程度に抑え、既存SMの全面改装を含めた抜本的な改装に政策の軸足を移す。
――以下は夏原社長の発言要旨である。
今年2月中旬には、総工費40億円を投じた新本部ビルが竣工する。旧本部とはGMSの「ビバシティ彦根」を挟んで反対側になる。同店の増床を見込んで買収した土地に建設したもので、種々の事情で増床は断念した。耐震構造的に限界が来ている旧本部については、跡地を駐車場にする。
建物は3階建てで、ワンフロア1500坪の1~2階は本部に、3階は研修センター、会議室、社員食堂などにする。これまで朝礼を館内放送にしたり、近隣の建物に分散して会議を開いたりしている不便さを解消できる。
このほか3年前から「ユニシス」と提携して構築している新基幹システムが今年1月からテストランできる状況になり、3月から本格稼働する。システム関連投資は、初期投資を含めて総額40億円に達する。
衣料・住居関連の改革が進捗
GMS改革では昨年3月、「アル・プラザつかしん」(兵庫県尼崎市)の衣料・住居関連売場、6月には食料品売場を全面改装した。一般的にGMSの非食品は、リーマンショック前まではやや回復傾向にあったが、同ショック後の3年間で大きく落ち込み、現在でも不振が続いている。大手各社共に改革に取り組んでいるが、当社を含めて目立った回復には至っていない。
GMSの非食品に対するお客さまの買物行動や価値観が大きく変化しており、それにGMSが対応できていない。このため他業態に浸食される状況が続いている。例えば衣料品の場合、当社はかつて売上高が650億円規模だった。これが現在、400億円を割り込んでいる。
こうした状況を打開すべく当社も前述のアル・プラザつかしんで、ファミリーを意識した売場や、婦人衣料に関連してインテリアやグリーン関連用品を陳列するなど衣料・住居関連品の新しい売場づくりに挑戦している。靴でも、紳士用、婦人用を1カ所に置くのではなく、紳士靴はビジネススーツやバッグと関連させてビジネスコーナーとして展開している。キッズ用品も、子供が遊べるスペースを併設している。こうした取り組みを、やや少ない投資で「アル・プラザ鯖江」(福井県鯖江市)にも導入し、9月に全面改装した。以上の2店を踏まえて、さらに売場を磨いて再構成した店が「アル・プラザ香里園」(大阪府寝屋川市)で、10月に全面改装オープンした。
同店の商圏は、大阪市内への通勤圏でもあることから、ビジネス関連品が売れる地域だ。このためイージーオーダー売場を広くとったことなどで好調に推移している。このように売場改装は基準を作るのではなく、「地域で求められている衣料や住居関連とは何か」を考えて改装している。この結果、改装後の売上は現状で10%近くの伸びを示している。
日刊流通ジャーナル2017年1月11日号より抜粋