セブン―イレブン・ジャパン(古屋一樹社長)はリクルート、商品開発、オペレーションが三位一体となった店舗展開を進めている。年間1600店、1700店と出店ペースを加速しているが、日販が計画未達となる店舗は3%弱と精度が高まっている状況だ。競争がますます厳しくなる中、古谷社長は「立地と商品、サービスが掛け算でなければならない」と語る。17年度は、国内店舗数2万店が確実視される。海外では日本のノウハウ投入で、中国の成長が著しいが、それ以上に米国のポテンシャルが大きいことを指摘する。
――以下は、古屋社長のインタビュー要旨である。
――16年は鈴木会長が退任され、グループの体制が刷新されました。セブン―イレブンへの影響は、いかがですか。
古屋社長 加盟店のオーナーの意識には、まったく影響がない。商売を積極的にできる環境を望まれているし、それをサポートするのが、われわれの使命である。ただ鈴木会長がいなくなってさびしいというオーナーはいらっしゃるが、店舗運営には支障がない。
――100日プランで出店基準を厳しくするという方針が発表されましたが、実際の状況はいかがですか。
古屋社長 いままでも出店基準は厳しかったが、毎年1600店、1700店と出店ペースを上げている。200項目以上の出店基準があり、それらをすべてチェックしても、中には予想よりも売れない店があり、項目を厳しくし、細かく分析する。車の通行台数、人の通行人数など仮説検証を繰り返してハードルを上げ、確実に結果が出ている。新店の日販は3万円アップし、計画が未達の店舗は3%を下回っている。
――リクルート本部、商品本部、オペレーションサポート本部のリレーションが、うまくいっているのですか。
古屋社長 昔から開発の予測スキームがあったが、最後はどうしても個人の感覚が入っていた。いまはリクルートと店舗を守るオペレーションを全部、セットにしている。ただ新店をつくるだけでなく、街づくりのコンセプトで取り組んでいる。今期も1700店オープンでき、スクラップ&ビルドを差し引いても、1000店の純増になる。ただ、売上・利益で加盟店の満足感がない限りは、いくら店舗数を増やしても、このビジネスは成長しない。
現場の力がカギを握る
――古屋社長は長く、オペレーション本部を担当され、加盟店の支援体制を熟知されていますね。
古屋社長 店が成長する環境をつくるのが、われわれの仕事だが、毎日、1000人強のお客さまと接するのは、お店です。そうするとやはり、現場力がカギを握る。サービス、品揃えであり、本部がどれだけサポートしても、お客さまがまた来ようという店をつくるのは店の方しかできない。そこのリーダー、オーナー、オーナー夫人であり、そうした方々のモチベーションがどれだけ、お客さまに向いて積極的にやっていただけるかということで、売上は20%、30%違ってくる。
――店舗開発では駅ナカや大学など、立地が多様化していますね。
古屋社長 JR新大阪駅構内に店があるのは、私自身も感動する。駅ナカへの出店は京浜急行が最初だが、JR西日本との間で、いい話し合いができて310店ほどになっている。大学は3000人以上の学生がいれば、出店を検討する。ATMや宅配の利用など、大学にコンビニがあると非常に喜ばれる。
――昨年12月の組織変更で、北日本、東日本、西日本に地区MD統括部を設立されました。かなり、地域性を重視されているようです。
古屋社長 のり弁当やシャケ弁当など、全国発信の商品もあるが、弁当の3分の1は地域商品である。地域ごとに素材、味付けが異なり、もっと地域の方と情報交換してスピーディにMDに活かして行こうということで、組織を変更した。地域商品もすべて役員会、本部で試食するし、私も週に1回は地域商品を試食する。われわれのブランドであるから、品質と味はみんなで担保していかなければならない。
日刊流通ジャーナル2017年1月17日号より抜粋