阪急オアシス(河村隆一社長)は16年6月、旧阪食グループのホールディングスの機能と製造企業を分社化し、SMの事業会社として新たなスタートを切った。改めて2020年度に売上高1500億円、営業利益50億円の目標を掲げている。これまで蓄積してきた高質食品専門館の店づくりを進化させ、立地や環境に合わせて業態開発に取り組む。ベースになるのは、MDの独自性である。17年度は新たに、外食を融合した実験店にチャレンジする。
――以下は、志水孝行取締役の発言要旨である。
昨年の社名変更を機に、改めて阪急オアシスのブランド力強化に取り組んでいる。2020年度の店舗数は100店を考えている。出店エリアは阪急のブランドが強い北摂エリアから神戸と、大阪市の北部からドミナントの豊中市、千里(吹田市)と京都市内に設定した。ここに資本と限られた要員を投入する。いままでのチェーンオペレーションで同じ店を出し続けるのは難しい。お客さまのニーズが多様化し、エリアによってもニーズが異なる。15年11月にオープンした当社のモデル店の位置づけの箕面船場店(大阪府箕面市、450坪)に代表される郊外型、都心型の住宅地、都心型の駅前、郊外型の駅前に加え、来期からNSCにチャレンジする。
一番大きく変えていくのはMDである。09年の千里中央店(豊中市)から箕面船場店まで食品専門館としてライブ感、情報発信、専門性という中で、いろんなチャレンジを続けてきた。これから20年にかけて前述の立地や環境に最適な店づくりに取り組む。全然違うことはしないが、店づくりから業態づくりにチャレンジしないと難しい時代になった。だがら、独自のMDを追求していかなければならない。われわれのノウハウの集大成である箕面船場店も中身を進化させていかなければならない。元々、生鮮・惣菜に力を入れてきた。これから都心の駅前の物件もいくつか出てくるので、外食、飲食のMDも取り入れていかなければならない。レストランとの融合ということを考えながら、取り組んでいく。郊外型、NSCの核店は箕面船場店の進化バージョンになっていく。
都心の駅前は外食のMDとワイン、チーズなど独自MDを組み合わせたものにチャレンジする。来期の物件の一部に、都心の駅前がある。都心の住宅地は、これまでにも手がけてきたが、新しいMDを取り入れるため、最低300坪で、売上高12億円は必要だと考えている。高質食品専門館のMDをすべて取り入れることはできないが惣菜系の独自MDは残したいので、一部の店舗で畜産のPCを活用してミートデリを加工し、これに魚惣菜を加え、デリカコーナーに包含している。高質食品専門館のローコストバージョンである。
NSCは17年7月、兵庫県伊丹市鴻池にオープンする。阪急オアシスは高質食品専門館の新しいタイプにチャレンジする。
日刊流通ジャーナル2017年1月20日号より抜粋