ベイシア(橋本浩英社長)は、SuC・SM・小型店のベイシアマートそれぞれでMDを再構築し、来店頻度の異なる3フォーマットでドミナントの深耕を目指す。商品部と販売部の協議でチラシの内容を決める昨年からの取り組みに加え、SM独自の販促や売場づくりを検討する研究会を立ち上げた。この研究会のもとチラシの内容もフォーマットの違いを明確にしていく。また、18年度からは売場面積を従来の6~7割程度に抑えたコンパクトタイプのSuCを主力と位置づけ、出店ペースを加速していく。
16年6月に就任した橋本社長は、自社の現状を分析したうえでFor the Customersの再徹底に取り組んだ。当時、社内には企業として目指すべき方向性に迷いが見えていたという。
「安さを武器にしてきた当社の強みが薄らぎ、EDLPが中途半端なものになっていた。安さを実現するためのイノベーションをもっと追求すべきだったのに、課題をそのままにして現状維持に陥っていた。当社が追求すべきFor the Customersで最も重要なものは何か?それが安さであることは、お客さまの期待として明確であり、全従業員も分かっていたことだ」(橋本社長)
安さを軸とした改革の実現に向け、まず1品単価は一定の水準を維持し、客単価は買上点数で伸ばすというベイシアの原則を徹底した。アベノミクス以降、食品の価格は総じて上昇傾向が続いており、ベイシアでも1品単価は上がっていた。生鮮品では大容量パックを増やすといった工夫も見られたが、橋本社長は1品単価の上昇で客単価が上がることは商品力の強化にならないと指摘する。
「大型パックで単価は上がるものの、ユニット単価は下がるのでお客さまはお得になるという考え方をしていた。そのような売り方は、実際にはお客さまのためにならない。大型パックの精肉を購入して食べきれない分は、冷凍などで保存するだろう。それを解凍したときに品質が落ちてしまえば、当社の肉はおいしくないと思われてしまう。本当にFor the Customersで考えるなら、お客さまが使い切れる量目で商品化し、悩まずに購入できる単価に設定することだ。使い切るから、また来店していただける。1品単価は一定で、買上点数と来店頻度を高める工夫をしなければならない」(同社長)
日刊流通ジャーナル2017年3月31日号より抜粋