マルエツ(上田真社長)は17年度、全員参加による業務改革の推進に取り組む。人手不足、人件費・賃料の上昇など、小売業を取り巻く環境が厳しい中、上田社長は「まさに労働集約産業が危機を迎えている」ことを指摘する。オペレーションで合理性をもった省力化を進める。発注精度を高めるためのAIを活用したシステムを持ち株会社のU・SM・Hで開発することも視野に入れている。一方、重点部門のデリカで生鮮素材の共有化を進める。今秋オープン予定の新店で、店長直轄の調理部門を設ける。
首都圏は当面、マーケットの成長が見込まれるが、上田社長は高齢化によって、店舗のあり方やMDが変わらざるを得ないことを指摘する。来店手段は徒歩・自転車が中心となり、来店頻度が上がり、客数が増える見通しだ。MDは即食化の提案が大きなキーワードになりそうだ。
「小商圏化によって、店舗の規模は結果として小型化すると思う。だが、われわれとしてはマルエツ プチや150坪型ではなく、もっと大きい店を手がけたい。やはり、いまのライフスタイルに合った店づくりやあるべきMDを考えると、400~500坪の規模がないとやれることが限られる」(上田社長)
17年度は「全員参加で業務改革を実現しよう」を基本テーマに掲げる。
「これから15歳から64歳の生産人口が減り、高齢化がどんどん進むことによって、SMがいままでのようにパート・アルバイトを中心に安い労働単価の人を集中的に活用するビジネスモデル自体が崩れてしまいかねないという危機感をもっている。だがSMとしての最低限のサービスレベルは維持しなければならない。闇雲な省力化は絶対、サービスレベルの低下につながる。
今回、オペレーションを改革する組織を新たにつくった。そこを中心に、相矛盾することではあるが、省力化や人時をかけないで、サービスレベルを落とさないオペレーションの構築をやり遂げなければSMは生き残れないだろう」
人時数のウェイトの大きいレジ回りを効率化するうえで、可能な約180店にセミセルフレジを導入している。これによって、レジ回り業務の1.4倍の効率化を目指す。
日刊流通ジャーナル2017年4月3日号より抜粋