東急ストア(須田清社長)は17年度、人手不足で人件費が高騰する厳しい環境下にあって、労務構成の見直しに着手する。正社員、パートタイマーが本来の役割を果たすためのインフラ整備によって、総人件費を軽減する。特に、正社員が本来のスキルを身につけレベルアップを図るうえで、全員教育を政策の柱に掲げる。さらに、店内作業の軽減・効率化に向け、物流センター、プロセスセンター、デリカセンター、サテライトキッチンの規模・機能の見直しを検討する。
17年度は中期経営計画の最終年で、売上・利益とも目標を達成できる見通しだ。直近で東京・渋谷に開業する新名所、渋谷キャストにフードステーション(59坪)を開設する。SMとコンビニエンスストアの機能を融合したフードステーションとして大倉山店(横浜市)、中延店(品川区)、用賀店(世田谷区)に次ぐ、4店目となる。先行3店舗と異なり駅前ではないことから、地域住民、オフィスワーカーに加え、渋谷の名所への来街者をターゲットとする。
「先行店舗で培ってきたノウハウを進化させるとともに、駅前店舗でないため、近隣住民のSM需要と就業者ニーズに対する簡便性の提供に加え、来街者をどれだけ取り込めるかということがポイントになる。気軽に店に入っていただき、面白い商品を買っていただいたり、あるいはワンハンドでの食べ歩きということを含めて、新しいMDにトライアルする」(須田社長)
次いで7月には、横浜市営地下鉄・センター北駅に隣接する商業施設内に居抜きで250坪型のSMを開設する。競争が厳しいエリアで、勝ち残りのMDを志向する。品質、鮮度、品揃えの豊富さに加え、競合店に負けない価格を打ち出す。「東急線に隣接するエリアではあるが、東急ブランドのイメージにこだわると、戦えない。ここで培ったMDを沿線外に伝播していくモデルとなる店をつくりたい」(須田社長)
また店舗年齢を最終的に3年以内に抑えるため、積極的な改装を進めている。今年に入って2月末に五反田店(品川区)をリニューアルオープンした。東急池上線・五反田駅に隣接する商業ビルの地下1階、1~2階を賃借しており今回、1階の厨房に手を加え、ベーカリーを含め、デリカをフルライン化した。東急ストアでデリカ売上№1を目指す。
日刊流通ジャーナル2017年4月12日号より抜粋